犯罪者たちのジリジリとした焦燥、潜入捜査の手に汗握る攻防、サイコなヤツらの狂気、陰謀が迫りくる恐怖……登場人物の心理がヒリヒリと伝わる「サスペンス映画」の数々。その切り口は、もはやひとくくりにはできないほど多彩に広がっています。

そこで今回、スリルあり、ブラックユーモアあり、どんでん返しありと、ドキドキ、ハラハラの刺激をたっぷり味わえるサスペンス映画の中でも、珠玉の30作品を「クライム」「サイコ」「社会派」などのカテゴリーに分けてセレクト。

Netflix、U-NEXT、Huluなど、映像配信サービス(VOD)で今すぐ視聴できるサスペンス映画ばかりなので、ぜひチェックして“ヒリヒリ”に浸ってください。

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犯罪の影に人間模様あり!クライムサスペンス

『ノーカントリー』

ストーリー

1980年、メキシコ国境沿いのテキサス荒野へハンティングに訪れたモス。彼は麻薬密売人と思わしき複数の死体と200万ドル近くの大金を見つけ、出来心から大金を持ち帰ったことで、冷徹な殺し屋・シガーに追われる身となる。一方、老保安官のベルも彼らの行方を追い…。

アカデミー賞4部門受賞に輝いたクライム映画の傑作!

緻密に練り込まれたストーリーと人間描写、意味深なシーンの数々、そして全身に戦慄が走るバイオレンス描写と、サスペンス映画の中でも抜きん出た完成度の高さ。

何と言っても注目は、奇妙な髪型で眼力の鋭い殺し屋・シガーを演じたハビエル・バルデム。表情を変えることなく次々と殺人を重ねる姿がおぞましく、文字通り「怪演」です。

『ファーゴ』のコーエン兄弟による大傑作で、アカデミー賞で作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞の4部門受賞にも疑いの余地なしです。

『スリー・ビルボード』

ストーリー

ミズーリ州の田舎町。7カ月前にミルドレッドの娘が惨殺されるが、犯人の捜査に進展が見られない。そこでミルドレッドは道路に並ぶ3枚の看板広告に、町の警察署長を揶揄する文言を掲げる。そんな彼女に町の人々から批判が起こる中、次々と不穏な事件が起こり始める。

保守的な田舎町を舞台に、事件が次々と連鎖

母親と地元警察の対立を軸に、思いもよらぬ事件が連続し、その背景に絡む人間模様や奥底の心理を丹念に描き上げた第一級のサスペンス。

怒りや後悔、悲しみなどの感情が入り交じる母親、町民の信頼を集める警察署長、差別主義を謳う巡査を、フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェルが名演。名優たちによる心理表現も大きな見どころです。

『潜入者』

ストーリー

1985年、フロリダ州の港町・タンパ。関税局員のロバート・メイザーは、コロンビアを拠点とする世界最大の麻薬カルテルを掃訴するため、大胆な潜入捜査に乗り出す。大富豪を装った彼は組織に資金洗浄を持ち掛け、資金ルートから組織の中枢に取り入っていくが…。

ベテラン捜査官が麻薬カルテルに潜入した実話を映画化

アメリカ麻薬戦争で最も成果をあげた潜入捜査の立役者、ロバート・メイザーによる回顧録を映画化。

麻薬カルテルで身を偽る緊迫感、自らの任務とカルテル幹部との絆の間で揺れ動く葛藤や迷いなど、メイザーのただならぬ心理が手に取るように伝わります。

メイザー役は、『ブレイキング・バッド』で麻薬王を演じたブライアン・クランストン。一見普通に見える中年男がとんでもない窮地に陥る姿は、まさに彼の真骨頂といえます。

『エル ELLE』

ストーリー

ゲーム会社の社長・ミシェルはある日、一人暮らしの自宅で覆面の男に襲われる。その後も彼女の周りで不可解な出来事が続くが、過去のある事件をきっかけに警察を避けるミッシェルは、自ら犯人探しを始める。しかし、やがて彼女の本性が明らかになり始め…。

強盗に襲われた被害者にとんでもない秘密が…

『氷の微笑』のポール・バーホーベン監督による官能的なクライムサスペンス。

謎めいた事件の真相を追うサスペンスと思いきや、やがてミシェルのアブノーマルな本性が露わになり、ストーリーは驚愕の方向へ舵が切られます。

主演は、フランスを代表する女優にして、本作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたイザベル・ユペール。その妖艶な魅力に惑わされること必至です。

『ナイトクローラー』

ストーリー

ロサンゼルスでコソ泥をして孤独に暮らすルイス・ブルーム。ある日、彼は交通事故現場で報道スクープ専門の映像パパラッチ、通称「ナイトクローラー」と遭遇する。彼らの仕事に興味を持ったルイスは、自ら事件現場の撮影に乗り出すが、やがて手口がエスカレートし…。

ジェイク・ギレンホールの猟奇性に刮目!

視聴率至上主義のメディアの暗部に切り込み、モラル度外視で衝撃映像を狙うナイトクローラーの過熱する凶行に迫った作品です。

主演を務めたジェイク・ギレンホークの狂気に満ちた演技が見もの。衝撃映像を撮影するために、事故現場の死体をも躊躇なく動かし、血みどろのアングルに仕立て上げる。そんな奇行を良心の呵責もなく行う姿に、底知れぬ闇がほとばしります。

『パフューム ある人殺しの物語』

ストーリー

18世期のパリ。悪臭漂う魚市場で産み落とされたジャンは、超人的な嗅覚を宿していた。ある日、若い女性の匂いに魅了されたジャンは、その女性を殺してしまう。彼は彼女の匂いが忘れられず、匂いを保存する技術を得るため香水調香師に弟子入りする。

ある女性の匂いに倒錯した調香師の狂気

匂いに取り憑かれた寡黙な青年が、やがて驚愕の悪事に手を染めていく狂気を描き上げ、劇場公開時にはその過激な描写が物議を醸しました。

18世期パリに漂う悪臭、女性たちが振りまく香水の香り、花々が発する甘い匂いなど、本作のカギとなる「匂い」を鮮烈な映像と繊細な音楽によって観る者に感じさせ、どぎつくもファンタジーめいた世界に引き込まれます。

『グッド・タイム』

ストーリー

ニューヨークで貧困にあえぐコニーと、知的障害を持つ弟のニック。2人は銀行強盗を犯し、弟だけが警察に捕まってしまう。コニーは一晩でニックの保釈金を工面しようと奔走するが、ニックは獄中で暴れて病院に搬送される。コニーは弟を連れ出すため病院に忍び込み…。

銀行強盗に失敗した兄弟の運命が一晩で二転三転!

カンヌ国際映画祭コンペティション部門選出の快作です。

どん底に陥り、選ぶ手がことごとく裏目に出るコニーの、ジリジリとした焦燥が全編から伝わります。ニューヨークの危うげな闇夜とも相まって、先の見えない展開にハラハラが止まりません。

コニーを演じたのは、『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソン。多くを語らずとも、反骨と諦めが混ざり合った「目」で観る者の心を鋭く射抜きます。

『日本で一番悪い奴ら』

ストーリー

柔道の腕前を買われ、北海道警の刑事になった諸星要一。強い正義感を持ち合わせながら、うだつの上がらない毎日を送っていた。そんなある日、諸星は先輩刑事の村井から「裏社会に飛び込み、S(スパイ)を作れ」と助言され、危険な捜査に踏み込んでいく。

日本警察史上最悪といわれる不祥事を映画化

日本警察史上最悪といわれる不祥事を映画化
覚醒剤取引、拳銃売買、道警による裏金づくりなど、刑事による悪事のオンパレード。2002年に世間の醜聞を集めた北海道警の「稲葉事件」を題材に、警察不祥事の顛末を描いた作品です。

『凶悪』の白石和彌監督が長年の構想を疾走感あるタッチで形にし、諸星役の綾野剛はこの作品のために10キロ増量して気骨ある演技を見せつけます。

タガが外れた恐怖に震撼!サイコサスペンス

『アメリカン・サイコ』

ストーリー

80年代のニューヨーク。証券会社副社長のパトリックは、贅沢な暮らしを謳歌していたが、心の中は空虚な闇に支配されていた。ある日、レストランで出会ったポール・アレンに劣等感を抱いたパトリックは、彼を自宅に招いて斧で殺害する。そこから彼の殺人衝動が加速し…。

クリスチャン・ベイル怪演!ウォール街のエリートが殺人鬼に

エステや日焼けサロンに通い、高級アパルトマンで体を鍛え、美しい自分に酔いしれる。その一方で、自己顕示に興じるエリートたちを蔑み、快楽殺人で歪んだ欲望を満たしていく――。

そんなまぎれもなくサイコパスな男が憑依したかのような、クリスチャン・ベイルのぶっ飛んだ演技が見ものです。さらに、解釈が二分したストーリーの行方にも注目です。

『ミザリー』

ストーリー

ベストセラーシリーズ「ミザリー」の作者、ポール・シェルダンは、シリーズ完結の新作を書き上げ、猛吹雪の中、車で出版社へ向かう。しかし、交通事故に遭い、重傷を負う。彼の熱烈なファンであるアニーが彼を助けるが、「ミザリー」の完結を知ったアニーは態度を豹変し…。

小説家の熱狂的なファンによる偏愛の狂気

大好きな小説の主人公が死ぬことに逆上したアニーは、ポールを自宅に監禁し、自分が納得のいく物語を書き続けるように強要。アニーの本性が末恐ろしく、時折見せるポールへの優しさにも嵐の前の静けさのような怖さが滲みます。

主演のキャシー・ベイツがアカデミー賞主演女優賞を受賞。普通と狂気は紙一重だということを痛切に感じさせる名演が見ものです。

『隣人は静かに笑う』

ストーリー

大学教授のマイケル・ファラデーはある日、路上で血まみれになった少年を救助する。その少年は隣に越してきたラング家の息子で、それを機にファラデー家とラング家は家族ぐるみで交流を深める。だが、マイケルはラング家の夫、オリヴァーの言動に不審な点を見つけ…。

正体の知れない隣人による恐怖が忍び寄る!

疑えば疑うほど得体の知れない恐怖がむくむくと膨らみ、やがてとんでもない末路を辿る一部始終にハラハラしっぱなしです。鑑賞後には呆然とエンドロールを眺めていることでしょう。

名優のティム・ロビンスが演じる隣人の冷静沈着な表情にうすら寒さを感じ、その妻の笑顔に隠れた底知れぬ闇にも度肝を抜かれます。

『悪の教典』

ストーリー

高校教師の蓮実聖司は、生徒から慕われ、学校やPTAからも信頼を集めていた。しかし、彼は自分の障害を取り除くためには殺人でも厭わない、生まれながらのサイコパスだった。あるミスを犯した蓮実は、その隠蔽のためにクラスの生徒全員を惨殺しようと考え…。

伊藤英明が支配欲にかられた高校教師を狂演!

「このミステリーがすごい!」第1位を獲得した貴志祐介の衝撃作を、『十三人の刺客』の三池崇史監督が映画化。

『海猿』シリーズ等でクリーンな役どころの多かった伊藤英明が新境地に挑み、クリーンな印象の裏に潜む狂気の沙汰を見事に演じ上げています。そのギャップの大きさに感情が激しく揺さぶられる作品です。

『冷たい熱帯魚』

ストーリー

小さな熱帯魚店を営む社本の娘・美津子がスーパーで万引きをして捕まってしまう。社本と妻の妙子がスーパーに向かうと、村田という店長の知り合いの助けによって、美津子は難なく解放される。それ以来、社本は大型の熱帯魚店を営む村田と交流を深めるが…。

鬼才・園子温が放つ、実際の猟奇殺人事件を描いたサスペンス

実際にあった「埼玉愛犬殺人事件」をベースに、猟奇殺人鬼の狂気に巻き込まれた中年男の恐怖を描写。

『愛のむき出し』『恋の罪』の園子温監督が人間の暗部に切り込み、表現の規制をあざ笑うかのようなセンセーショナルな映像が連続。

殺人鬼の村田を演じたでんでんの演技も凄まじく、彼の危うくて鋭い眼光に観る側も囚われ、全身が凍りつくような震撼に襲われます。

政治、陰謀、巨悪が絡む社会派サスペンス

『スノーデン』

ストーリー

軍に志願入隊したエドワード・スノーデンは、訓練で足に大怪我を負い、除隊を余儀なくされる。その後、CIAに入ったスノーデンは、コンピュータの知識を買われてジュネーブに派遣される。彼がそこで目にしたのは、政府が個人情報を極秘に監視するシステムだった。

アメリカの国家機密を暴いたスノーデン事件を映画化

エドワード・スノーデンによって、アメリカ政府による国際的な監視プログラムの存在が暴露された「スノーデン事件」。

当時29歳だった青年がなぜ命がけの告発に踏み切ったのか、彼の心理や人間性、恋人との関係などを丹念に描きながら、告発への過程をスリリングに描きます。

オリバー・ストーン監督が事件の真相に切り込み、主演のジョセフ・ゴードン=レヴィットによるスノーデン本人と見紛うほどの演技も必見です。

『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』

ストーリー

大統領候補、マイク・モリスの選挙キャンペーンで選挙参謀を務めるスティーブン。選挙戦最大の山場であるスーパー・チューズデーを前に、彼はライバル陣営の選挙参謀・ダフィから巧みな引き抜き工作に遭う。そんな中、スティーブンは選挙スタッフのモリーと一夜を共にし…。

アメリカ大統領選挙の裏側に潜む驚愕の心理戦

実際に選挙キャンペーンスタッフを務めた原作者の実体験をベースに、選挙戦の裏側で加熱する不正や裏取引、スキャンダル、そして関係者たちの心理戦がスリリングに展開。

『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリングが主役に抜擢され、本作の監督も務めたジョージ・クルーニー、フィリップ・シーモア・ホフマン、ポール・ジアマッティらが豪華競演。

登場人物たちがいずれも曲者ばかりで、静かに容赦なく巻き起こる心理戦に釘付けです。

『女神の見えざる手』

ストーリー

コール=クラヴィッツ&Wの敏腕ロビイスト、エリザベス。彼女はある日、銃擁護派団体から銃規制法案の成立阻止を依頼されるが、自らの信念を貫いてきっぱりと断る。やがて彼女は小さなロビー会社に移籍し、銃規制法可決のために巧妙なロビー活動を展開するが…。

政治を陰で動かすロビイストの策略を描写

政治家や世論、マスコミを巧みに操るロビイストに焦点を当てた稀有なサスペンス。アメリカの銃規制を巡る権力闘争の内実に迫り、ハードな攻防や大胆な策略、予想を裏切る展開をスリリングに描いています。

強靭な信念と決断力によって権力に立ち向かう主人公を演じたのは、『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェシカ・チャステイン。眼差しや振る舞い一つひとつに“強さ”がほとばしる熱演です。

『チェンジリング』

ストーリー

1928年、ロサンゼルス。シングルマザーのクリスティンは9歳の息子・ウォルターと幸せに暮らしていた。しかし、彼女の勤務中にウォルターが失踪。行方が掴めず5カ月が過ぎ、ようやくウォルターが見つかり列車で帰ってきたが、列車を降りた少年はウォルターとは別人で…。

息子の無事を信じ続けた母親の物語

息子を探し続ける母親と、捜査ミスを隠蔽しようとする警察圧力との戦い。そんな壮絶を極める話が実際にあったというから驚きです。

巨匠、クリント・イーストウッドが衝撃の実話をもとに、母親の苦悩と孤独、消耗、希望を失わない強さを丹念に描き切り、母親を演じたアンジェリーナ―・ジョリーの熱演も圧倒的です。

『シリアナ』

ストーリー

中東で諜報活動にあたってきたCIA工作員のバーンズは、現場からの引退を決意し、中東産油国で最後の任務に乗り出す。同じ頃、スイスで活動するエネルギーアナリストのウッドマンは、同国の王位継承者・ナシール王子の相談役に就く。

石油利権を取り巻く人間たちの欲望と運命を活写

CIA工作員、アナリスト、アラブ王子など、複数の人物たちのストーリーが並列して進み、やがて彼らの運命が交差すると共に、石油利権を巡る陰謀や欲望があぶり出されます。

この複雑にして巧妙、かつスリリングな物語の監督・脚本を手掛けたのは、『トラフィック』でアカデミー賞脚本賞に輝いたスティーブン・ギャガン。彼のもとに、ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ジェフリー・ライトら実力派が集い、重厚なドラマを見せてくれます。

『ウインド・リバー』

ストーリー

ネイティブアメリカンの保留地、ワイオミング州のウインド・リバー。ハンターのコリーは雪深い山岳地帯で、娘の親友であるネイティブアメリカンの少女・ナタリーの死体を発見する。コリーは新米FBI捜査官・ジェーンから協力を要請され、2人で事件の真相を追うが…。

アメリカが抱え続ける闇をスリリングにあぶり出す

厳しい環境に追いやられたネイティブアメリカンの実情に迫り、アメリカが抱える根深い社会問題をあぶり出す社会派クライムサスペンス。

『ボーダーライン』の脚本を手掛けた脚本家、テイラー・シェリダンが自ら監督を務め、衝撃的な事件の真相をスリリングなタッチで活写。ジェレミー・レナーが孤高にして人間味あふれるハンターを力演し、観る者に問題を投げかけます。

ユーモアとスリルに浸れるサスペンスコメディ

『メランコリック』

ストーリー

名門大学を卒業したものの、うだつの上がらない毎日を送る和彦。ある夜、たまたま訪れた銭湯で高校の同級生・百合と再会したことをきっかけに、その銭湯で働き始める。しかし和彦は閉店後の深夜、風呂場が人を殺す場所として貸し出されていることを知り…。

殺人に使われる銭湯を舞台にした数奇なドラマ

田中征爾監督の長編映画デビュー作にして、批評家たちから賞賛を集め、東京映画祭の日本映画スプラッシュ部門で監督賞を受賞した痛快作です。

銭湯を舞台に展開するストーリーや人間描写がとても秀逸で、サスペンスやホラーに留まらず、コメディ、青春ストーリー、ラブストーリーなど、様々なジャンルの面白さを内包。鑑賞後には心地よい余韻に浸れます。

『隣のヒットマン』

ストーリー

歯科医のオズと妻のソフィアは、殺したいほど憎み合っていた。そんなふたりの隣に殺し屋のジミーが越してくる。ジミーはマフィアのボスを裏切り、ボスの息子・ヤンニから追われていた。ソフィアは報酬目当てにジミーの居所をヤンニに密告するようオズをけしかける。

冷え切った夫婦と隣人のヒットマンによる殺人狂騒劇

登場人物たちがみな殺意を持ち、歯科医夫婦、ヒットマン、マフィアたちによる殺人ドラマの状況が目まぐるしく変化。コミカルなタッチでストーリーが思わぬ方向に転がり、ラストの行方まで目が離せません。

ブルース・ウィリスが出てくるだけで、何かとんでもないことが起こりそうという想像が掻き立てられ、その期待を裏切らない痛快作です。

『鍵泥棒のメソッド』

ストーリー

銭湯で羽振りのいい男が転倒し、記憶を失ってしまう。その場に居合わせた貧乏役者の桜井は、咄嗟にロッカーの鍵をすり替え、彼になりすます。だが、その男は伝説の殺し屋・コンドウだった。一方、自分を桜井だと思い込んだコンドウは、真面目に役者としての成功をめざす。

内田けんじ監督の“巧妙ぶり”が冴え渡る痛快劇

売れない役者と殺し屋という真逆のふたりの人生が入れ替わり、婚活中の女性も巻き込んだ大騒動を笑いとスリルたっぷりに描いた作品。

監督は、『運命じゃない人』『アフタースクール』で巧妙な物語を紡いだ内田けんじ。本作でも巧みな仕掛けと構成で観る者を気持ちよく翻弄し、鑑賞後にはスッキリとした気分にさせてくれます。

とことん追いつめる!復讐劇サスペンス

『スリーパーズ』

ストーリー

シェイクス、マイケル、トミー、ジョンの少年4人は、些細ないたずらによって収監された少年院で、看守たちから凄惨な性的虐待を受け続ける。やがて出所し、大人になった4人。トミーとジョンがかつての看守の一人を射殺したことをきっかけに、看守たちへの復讐を始める。

虐待を受けた少年たちの壮絶な復讐を描いた問題作

検事補、新聞記者となったマイケルとシェイクスが、虐待の事実を公にし、看守を射殺した仲間2人の無罪を勝ち取るために奮闘。

前半の虐待の描写は凄惨を極め、看守を演じたケビン・ベーコンの憎たらしいほどの悪者ぶりが、復讐に乗り出す4人への感情移入を強く促します。

ブラッド・ピット、ジェイソン・パトリックらが固い絆で結ばれた4人を演じ、ロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマンの豪華共演も見逃せません。

『完全なる報復』

ストーリー

フィラデルフィアで妻子と暮らすクライドはある日、自宅で2人組の暴漢に襲われ、妻子を殺害されてしまう。犯人の2人は逮捕されるが、担当検事・ニックの司法取引によって主犯格が大幅に減刑される。憤ったクライドは、犯人や司法関係者へのとてつもない復讐を企てる。

家族を殺害された男が司法のすべてに牙を剥く

クライドの復讐計画は、想像をはるかに超えて壮絶。その意図が明らかになるたびに、クライドの謎めいた行動一つひとつがパズルのように噛み合い、観る者も父親の底知れぬ怒りを浴びせられます。

妻子を失った父親、司法取引を独断した検事。対峙するふたりの男を演じたジェラルド・バトラー、ジェイミー・フォックスの熱演にも舌を巻きます。

『オールド・ボーイ』

ストーリー

平凡な会社員のオ・デスは突然拉致され、小さな部屋に監禁されてしまう。15年の監禁生活を経て解放されたデスは、若い女性・ミドの助けを借り、監禁した相手の正体を探る。そんな2人の前に謎の男・ウジンが現れ、互いの命を懸けた5日間のゲームを提案する。

15年間の監禁の先に驚愕の復讐が待ち受ける

パク・チャヌク監督による代表作であり、『復讐者に憐れみを』『親切なクムジャさん』と共に“復讐三部作”に位置付けられるバイオレンスサスペンス。

デスの監禁生活の背景が明かされることで、人間模様が一変し、想像を絶する復讐の全容にただただ言葉を失います。

『告白』

ストーリー

とある中学校の終業式後のホームルーム。1年B組の担任・森口悠子は、数カ月前に彼女の一人娘がプールで死亡したのは事故ではなく、クラスの中の犯人AとBに殺されたのだと明かした。そして、森口は少年法で守られた犯人たちに処罰を与えると宣言する。

女教師による執念の復讐に戦慄が走る衝撃作

湊かなえのベストセラー小説を『嫌われ松子の一生』の鬼才・中島哲也監督が映画化。

事件に関係する教師や生徒の母親、犯人それぞれの「告白」で物語が進み、森口による犯人への鉄槌の下し方には身の毛もよだつような恐怖を覚えます。

松たか子の感情を押し殺した演技が、森口の混濁した心情を観る者に突き付けます。

『ミスミソウ』

ストーリー

野咲春花は東京から田舎の中学校に転校後、クラスで執拗ないじめに遭っていた。クラスメイトの相場晄だけが春花の味方になってくれたが、いじめはエスカレートし、ついには春花の両親が放火によって焼死する事態になった。やがて春花は壮絶な復讐を始める。

陰惨ないじめに遭った女子校生の復讐劇

目を覆いたくなるような激烈なバイオレンスシーンが連続。雪深い田舎町が鮮血で染まり、白と赤のコントラストも鮮烈に目に焼き付きます。

しかし、激しさのみならず、中学生たちの抑えきれない憎悪や閉塞感、行き過ぎた愛情が複雑に絡み合い、思いもよらぬ方向に展開するストーリーも見ものです。

逃げる美学!逃避行サスペンス

『ガルヴェストン』

ストーリー

病に侵され、死を覚悟した殺し屋のロイ。ある仕事先で何者かに襲われ、組織に切り捨てられたことを知ったロイは、その場に囚われていた若い女を連れて逃亡する。彼女はロッキーと名乗り、家を出て身体を売っていたという。2人はそのままあてのない逃避行を始めるが…。

エル・ファニングが殺し屋と逃亡する娼婦を熱演

死を悟り、組織に裏切られた殺し屋。家を飛び出し、頼る者がいない女。心に傷を負った2人による悲しくも美しい逃避行を、エモーショナルな映像でとらえた作品です。

『最後の追跡』のベン・フォスター、『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』のエル・ファニングが共演。とりわけエル・ファニングの感情表現が素晴らしく、境遇に恵まれない若き娼婦役を全身で演じ上げた姿に圧倒されます。

『悪人』

ストーリー

長崎県の寂れた漁港で、祖父母の面倒を見ながら孤独な日々を送る清水祐一。ある日、出会い系サイトで知り合った女性を殺害してしまう。いつ容疑がかかってもおかしくない祐一だったが、同じく孤独な日々を送る馬込光代と出会い、2人は絶望的な逃避行に出る。

殺人を犯した男と愛に溺れた女の悲しき逃避行

生きることに不器用で孤独感を抱えた男女が、互いに惹かれ合い、希望のない逃避行に至る姿を通して、表題の「悪人」とは誰なのか、本当の悪とは何なのかを考えさせます。

『フラガール』の李相日監督が芥川賞作家・吉田修一の傑作小説を映画化し、妻夫木聡と深津絵里がW主演。愛に溺れる2人の苦悩や諦めをはらんだ表情が胸に響きます。

『八日目の蝉』

ストーリー

妻のいる男との間に身ごもった子どもを中絶した希和子。不倫相手の男の妻が出産したことに憤った彼女は、生まれたばかりの赤ん坊・恵里菜を誘拐し、自分の子どもとして育てながら4年間の逃亡生活を送る。やがて21歳になった恵里菜もまた妻帯者の子どもを妊娠し…。

井上真央、永作博美共演、母娘の数奇な運命を描き出す

角田光代の同名小説を映画化し、日本アカデミー賞10部門受賞に輝いた見応えのあるサスペンス。

父の愛人に4歳まで育てられた恵里菜が、自分の境遇と重ね合わせるように“育ての母”の足跡をたどり、希和子の切なく危うい逃亡生活を紐解いていきます。

井上真央、永作博美が運命に翻弄された「母子」を演じ上げ、「母子」双方の視点から観る者の心を激しく揺さぶる傑作です。

紹介作品が観られる主要VODを比較

サスペンス映画おすすめ30選に、気になる作品は見つかったでしょうか。

今回紹介したサスペンス映画が今すぐ観られる動画配信サービスを表にまとめましたので、少しでも気になった作品から動画配信サービスで早速視聴してみてください。

作品数 月額料金 無料期間 DL機能
U-NEXT 210,000 1,990円(税抜) 31日
Hulu 70,000 1,026円(税込) 2週間
Netflix 非公開 990円(税込)~ -
Amazon
プライム・ビデオ
非公開 500円(税込) 30日
dTV 120,000 500円(税抜) 31日
FODプレミアム 50,000 888円(税抜) 2週間 -
Paravi 非公開 1,017円(税込) 2週間
TELASA 非公開 562円(税抜) 30日

※2021年2月5日時点
※「作品数」は見放題対象の本数

洋画・邦画問わず幅広いジャンルの作品を揃えた『U-NEXT』、オリジナル作品が充実し、全作品を見放題で楽しめる『Netflix』、独占配信の作品も多数ある『Hulu』など、サービスそれぞれに特徴があり、いずれのサービスでも極上のサスペンス映画をたっぷり楽しめます。

未加入の方はまず無料期間のトライアルを利用してみて、自分の好みや予算に合うサービスを見つけてみてはいかがでしょう。

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