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  • ダーク・ヒーロー列伝 光と影の間で揺れる彼らの正義と美学に刮目せよ!

なぜ、私たちはダーク・ヒーローに惹かれるのだろうか? 思うにダーク・ヒーローはみな心に葛藤や弱さを抱えており、その痛みを乗り越えるために自身の能力を解放する。そこには正義感の塊である一方、私たちとは違う世界に住むヒーローの姿とは一線を画す。

我々と同じ弱さを抱え、それでも必死に生きる彼らに私たちは人間的な魅力を感じるのではないだろうか? 正義とは何か? 私たちが正義としているものは、果たして私たちが本当に選んだ正義なのだろうか? そんな疑問を投げかけながら、映画史に名前を刻むダーク・ヒーローたちを見てみよう。

『ジョーカー』

厳密に言えばジョーカーはダーク・ヒーローではなく、純粋な悪でありバットマンの手強い敵である(むしろバットマンこそダーク・ヒーローである)。ただ、そんなジョーカーをダーク・ヒーローの一番手に紹介せずにはいられないほど、映画『ジョーカー』は社会に適応できない一人の男が犯罪者として覚醒する姿を描き、観客に共感を呼ぶ複雑なダーク・ヒーロー像を生み出してしまった。狂気に身を委ねながらも、知的で計算高い犯行を行い、破壊行為だけを目的とした犯罪の美学というものを持ったジョーカー。稀代の悪役を見事に演じきりダーク・ヒーローと呼べるまでにジョーカーの存在を変えてしまったホアキン・フェニックスは、同作で第92回アカデミー賞でアカデミー主演男優賞を受賞した。

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映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は2024年10月11日(金)公開!

未曾有の社会現象を巻き起こし、映画史を塗り替えた『ジョーカー』、衝撃の続編が2024年10月11日(金)に公開。理不尽な世の中の代弁者として、時代の寵児となったジョーカー(ホアキン・フェニックス)。彼の前に突然現れた謎の女リー(レディー・ガガ)とともに、狂乱が世界へ伝播していく。孤独で心優しかった男の暴走の行方とは? 誰もが一夜にして祭り上げられるこの世界で、彼は悪のカリスマなのか、ただの人間なのか? 衝撃のラストを見逃すな!

『スーサイド・スクワッド』

バットマンやスーパーマンに投獄されたヴィラン(悪役)たちが、減刑と引き換えに危険なミッションに挑む『スーサイド・スクワッド』。本作でひときわ輝きを放ち人気キャラクターの仲間入りを果たしたのが、ジョーカーに心酔する元精神科医のハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)だ。サイコで自由奔放な彼女はミッションの最中にブランドバッグを盗み、無責任に任務から離脱することも。無軌道でぶっ飛んだ性格なのに、恋する男には一途という健気な一面も持つ。そんな彼女の魅力は本作だけではなく『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』でもぶち撒けられている。映画公開後はハロウィーンでの仮装でも多く見られ、キュートなハーレイに魅了された女性が多かったこともわかる。彼女も厳密にはダーク・ヒーローではなくヒロインなのだが、そのあたりはご愛嬌。

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『ブラックアダム』

全世界77ヵ国で封切られると共に大ヒットとなり、初日の3日間だけで210億円以上の興行収入を叩き出し大ヒットとなった『ブラックアダム』。破壊神のブラックアダムは敵には容赦なく「ヒーローは人を殺さないと思ったか? 俺は殺(や)る」と宣言して、容赦なくワンパンで破壊する。世界を救う気なんて1ミリも持ち合わせていないが、DCヒーロー好きの少年にはどこか甘い。人類の脅威なのか、世界の救世主なのか、いまいち立ち位置がわからないが、とにかく目の前の障害物は力でねじ伏せなぎ倒す姿は爽快の一言。ブラックアダムを通じて、世界を救うのは正義か? 悪か?みたいな思春期のような自問自答をしながら、ちょっぴり疲れた時に観てはどうだろう? スカッと気分が晴れること間違いなしである。

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『バットマン』

ダーク・ヒーローと聞いて誰もが最初に思い浮かべるのが『バットマン』ではないだろうか。ダークナイト・ディテクティブの異名をとるこのキャラクターが誕生したのは1939年のことだ。戦争の影がチラつくとなぜかバットマンが現れる。1939年は第二次世界大戦が開戦した年であり、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』が公開された2022年にはウクライナ侵攻が始まった。バットマンは長年作品化されているし、戦争は世界のどこかでいつも起きている。だから結びつけるのは少々乱暴かもしれないが、それでもバットマンには時代の暗い陰を感じずにはいられない。黒いコスチュームに身を包み、幼い頃に目の前で両親を強盗に殺されたことから悪を憎み、ホームタウンであるゴッサム・シティから犯罪を撲滅するために戦う。恐怖による犯罪撲滅の根源にあるのは、純粋な「憎しみ」であり、絶対的な正義であろう「執着する」バットマンの危うさが、人間的な苦悩と葛藤に結びつく。悪を憎みながら敵の生命は決して奪わない。矛盾と葛藤の塊とも言えるバットマンは90年近くにわたって私たちを魅了し続けているのである。

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『ブレイド』

臨月の母親が吸血鬼に噛まれたことで、ヴァンパイアと人間のハーフとして生まれたブレイド(ウェズリー・スナイプス)。みずからの出生を呪い吸血鬼ハンターとして活動する彼は、ヴァンパイアには情け容赦なく剣と手裏剣を使って次々と抹殺していく。全身黒づくめのコスチュームとクールなたたずまい、壮絶なバイオレンスとその合間にちょっぴり見せるユーモア。ブレイドはマーベルが映画で描くダークヒーローの大きな成功例となった。事実マーベルは『ブレイド』の成功に弾みをつけ、『X-MEN』『スパイダーマン』を世に放ち、MCU第1作の『アイアンマン』につながっていく。ヴァンパイアらしい冷酷な戦いを通じて描かれる爽快なアクションは、何かもをぶった斬ってやりたいムシャクシャした時に観るにうってつけだ。

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『パニッシャー』

FBIの優秀な捜査員だったが家族と共に楽しんでいたピクニックの最中にギャングに狙われ、妻子を失ってしまう。このことをきっかけに世の中の悪に強い憎しみを抱くダークヒーロー、パニッシャー(トム・ジェーン)が誕生する。彼の魅力はなんと言っても「特殊能力のようなスーパーパワーは持ち合わせていない」ということ。つまりダークヒーローでありながら普通の人間なのだ。武器は鍛え抜かれた肉体と銃機器や爆弾といったFBI時代に身につけたものでしかない。そんなパニッシャーはトレードマークのドクロが描かれた服を着て、悪であれば躊躇なく殺戮していく。家族を殺したギャングが法で裁かれると信じていたにもかかわらず、ギャングに買収された警察は何もしてくれなかった。これを機に正義を疑うようになったパニッシャーの狂気じみた悪への復讐は、ダークヒーローならではの魅力にあふれている。正しいことを言っているはずなのに、それが受け入れてもらえない。そんな理不尽なめに遭ってモヤモヤした気持ちの時は、「法で裁けないなら俺が裁く」と悪に鉄槌を下すパニッシャーを観てスカッとしてはどうだろう?

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『ゴーストライダー』

癌に苦しむ父を救うため17歳の時に悪魔メフィストに騙されて魂を売ってしまったジョニー。30歳になった彼(ニコラス・ケイジ)の前に再び現れたメフィストは、悪魔の契約からの解放を条件に魔界の反逆者を滅ぼすことを命じる。こうして父の形見のバイクと共に地獄の炎に包まれたジョニーは、燃えるドクロの顔を持つ制御不能なゴーストライダーへと変身する。ゴーストライダーの魅力はその圧倒的な強さ。どんな強敵と戦ってもピンチらしいピンチは訪れず、完膚なきまでに叩きのめしてしまう。一方で生身のジョニーは冷徹なゴーストライダーのあり方に苦しむのだが。圧倒的な強さを手に入れた一方で、普通に生きることのできない人間ジョニーの葛藤も観ていておもしろいところ。

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『ヴェノム』

敏腕記者エディ・ブロック(トム・ハーディ)はシンビオートと呼ばれる地球外生命体に寄生される。シンビオートはエディの体を乗っ取り、ヴェノムとして名乗りを上げるとグロテスクな体で容赦なく人を襲い喰らっていく。人を喰らうというヒーローとは真逆の凶暴性を持つヴェノムは、一歩間違えば世界の敵になる。エディは何とかシンビオートと共生しながらコントロールするが、暴走したヴェノムを止めることは誰もできない。悪人であれば喰らっても良いという正義なんだか、悪者なんだかわからないところがヴェノム。彼の魅力は何と言っても破天荒なパワーだ。地球外生命体という未知のパワーは普通に悪党では太刀打ちできない。相手がどんなに強かろうが、圧倒的なパワーで捩じ伏せてしまう姿は、傷つきながら正義を成すヒーローとはまた違った魅力にあふれている。

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『デッドプール』

特殊部隊の傭兵だったウェイド(ライアン・レイノルズ)はある日突然末期ガンと宣告される。謎の男にガンが治ると持ちかけられたウェイドは連れて行かれた施設で治療に挑むが、そこは余命わずかな人間がミュータントに改造される施設だった。実験によって改造されたことでガンは治り、どんな攻撃を受けても回復する肉体を手に入れた一方で、肌が爛れた醜い姿になってしまったウェイド。自作のコスチュームで「デッドプール」になった彼は、実験台として痛ぶった連中に復讐する。コミカルで下ネタ大好きだが、敵となったら容赦なく抹殺していく姿は、まさにダークヒーローそのもの。戦闘中に特殊部隊時代の同僚と出会っても敵であればお構いなしに殺してしまう。もともとは『X-MEN』に一回限りで登場する要諦だったヴィラン(悪役)だっただけに、邪悪な面も持ち合わせている。また時にはスクリーンの向こう側(つまり観ている私たち)にも話しかけてしまうほどの自由奔放さ。ヒロインが敵に誘拐されて怒ってはいるが、どこか緊張感はない。どんなに窮地に追い込まれても危機感はなく、おふざけモード全開なところもデッドプールの魅力だ。

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『デッドプール&ウルヴァリン』もお見逃しなく!

アメリカ公開から8週間が経過し米国内興収が6億2,728万ドルに到達。2012年の『アベンジャーズ』(6億2,335万ドル)の記録を超えた『デッドプール&ウルヴァリン』。ヒュー・ジャックマンが2017年の『LOGAN ローガン』以来となるウルヴァリン役に復帰したことでも話題に。世界の窮地のために立ち上がったもののおふざけ全開のデッドプールと、不器用で気難しいウルヴァリンが時に仲間割れを起こし、時に助け合いながら戦う。

なぜ、私たちはダーク・ヒーローに惹かれるのだろう?

もしもこの世にヒーローとダーク・ヒーロがいるとしよう。

正義のヒーローは泣きながら世界のために君を見殺しにするかもしれないが、ダーク・ヒーローは君を決して見捨てることはない。たとえ世界が滅びようとも君だけは守ってくれる。

そんな嘘や裏切りのない私だけのヒーローを、世界は今求めているのかもしれない。

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