第37回東京国際映画祭が2024年11月6日に最終日を迎えた。コンペティション部門出品作品の中から、一般観客の投票でもっとも多くの支持を得た作品に贈られる観客賞を、中国映画「小さな私(原題「小小的我」)」が受賞。
本作は、フィクションとドキュメンタリー双方で活躍するヤン・リーナーの監督作品。脳性麻痺を患う青年リウ・チュンフーのひと夏の成長を描く感動作だ。
第37回東京国際映画祭・観客賞は中国映画「小さな私」岩井俊二監督も演技力を絶賛!
最終更新日:2024年11月07日
中国のトップスター、イー・ヤンチェンシーが難役を好演
主人公の青年・リウ・チュンフーを演じたイー・ヤンチェンシー(易烊千璽)は、男性アイドルグループTFBOYSのメンバーとしても活躍。
2019年に初主演した映画「少年の君(原題:少年的你)」でその演技力が高く評価され、同作は第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネート、国内外で大きな話題となった。2021年には日本でも劇場公開され、記憶に残っている方もいるだろう。
今作では、脳性麻痺を患う青年という難しい役を見事に演じ、ヤン監督も「ヤンチェンシーさんがチュンフーとして現場に入ったとき『何もいうことがない。成功したな』と思いました」とコメント。
その演技力は、映画監督・岩井俊二もSNSで「あそこまで演じ切れたら俳優冥利に尽きる。すごい才能を目撃しました」と絶賛したほどだ。
青年チェンフ―と家族の心の物語
チュンフーの祖母役を演じたのはダイアナ・リン。映画「フェアウェル」や数々のテレビドラマシリーズに出演している。
母親役を演じたジャン・チンチンは、映画「西湖畔に生きる」で今年3月の第17回アジア・フィルム・アワード(AFA)主演女優賞を受賞。
ヤン・リーナー(監督) 受賞コメント
この映画の持つ物語が最終的に皆さんの心に刺さることがあればいいなと思います。
皆さんの映画に対する愛に感謝します。この作品は障害を持つ青年の成長を描いた作品ですが、主人公は普通の人間です。映画の製作に関わったすべてのクリエイターに感謝したいです。
監督プロフィール
ヤン・リーナー [杨荔钠]
1972年、中国の吉林省に生まれる。96年からドキュメンタリー制作を開始。これまでの監督作には第25回上海国際映画祭金爵賞コンペティション入選作“Leap of Faith”、第22回同映画祭入選作、長春映画祭最優秀監督賞受賞作『春潮』などがある。
ワールドプレミア上映には監督&キャストらが登壇
11月2日には、本作の監督、出演者らが舞台挨拶に登場。イー・ヤンチェンシーをはじめ、ダイアナ・リン、ジャン・チンチン、ジョウ・ユートン、監督のヤン・リーナー、イン・ループロデューサー、脚本のヨウ・シャオインが舞台挨拶に出席した。
日本公開はまだ未定だが、今から劇場で観られるのが楽しみだ。
作品情報
あらすじ
脳性麻痺を患う青年リウ・チュンフーは、大学受験を控えるなか、祖母が力を注いでいる舞台を手伝っている。祖母はチュンフーを積極的に社会に関わらせようとするが、チュンフーの母は不安を隠せない……。障害を持ちながらも力強く生きる若者のひと夏の成長を描く。
小さな私(Big World 小小的我 )
https://2024.tiff-jp.net/ja/lineup/film/37002CMP02
スタッフ
監督:ヤン・リーナ―
製作総指揮/プロデューサー:イン・ルー
脚本:ヨウ・シャオイン
撮影監督:ピャオ・ソンリー
編集:ジュー・リン
衣装:ドラ・ンー
音楽:小林武史
音響:リー・ダンフォン
美術:ジャイ・タオ
録音:シュエ・リー
キャスト
イー・ヤンチェンシー
ダイアナ・リン
ジャン・チンチン
ジョウ・ユートン
131分カラー中国語日本語、英語字幕2024年中国
※日本公開は未定
第37回東京国際映画祭開催期間:2024年10月28日(月)~11月6日(水)
日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
公式サイト: www.tiff-jp.net