2025年4月8日より毎週火曜24時29分から日テレ系30局ネットで放送される『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』。そのエンディングテーマを担当するアーティストとして注目されているのが、ホロライブプロダクション所属のバーチャルアーティスト、星街すいせいだ。
彼女が歌う楽曲「もうどうなってもいいや」は、すでに劇場先行版の挿入歌として披露され、話題を集めている。
本記事では、星街すいせいとは何者なのか、そして彼女の歌が『ジークアクス』に及ぼす影響について深掘りしてみた。


『ジークアクス』のEDテーマを歌う星街すいせいとは? ホロライブの"歌姫"がガンダムの歴史に新たな1ページを刻む
最終更新日:2025年03月24日


星街すいせいとは?

星街すいせいは、カバー株式会社が運営するVTuber事務所「ホロライブ」に所属するアーティストであり、自ら“バーチャルアイドル”を名乗る実力派シンガー。ハスキーで力強い歌声と、繊細な表現力を併せ持ち、音楽活動を中心に国内外で高い人気を誇る。
YouTubeでの音楽動画の再生回数は累計10億回を超え、オリコンやBillboard JAPANのランキングでも上位にランクインするなど、もはや「VTuber」という枠を超えた音楽アーティストとして確固たる地位を築いている。楽曲「ビビデバ」は、Billboard JAPANチャートにおけるストリーミング累計再生回数が1億回を突破し、VTuberとして初の快挙を達成している。
星街すいせい・プロフィール
所属:ホロライブ(ホロライブプロダクション)
活動開始:2018年(個人勢として)→2019年にホロライブ加入
代表曲:「ビビデバ」「Stellar Stellar」「GHOST」「ソワレ」「フォニイ」
特徴:作詞作曲にも関わるセルフプロデュース力/リアルライブの実施/多彩なジャンルを歌いこなす実力派
「もうどうなってもいいや」がもたらす“新しい風”

『ガンダムジークアクス』のTVシリーズEDテーマとして起用された「もうどうなってもいいや」は、劇場先行版で挿入歌として先行公開された楽曲。
タイトルからも感じ取れるように、切実で刹那的な感情が込められた一曲であり、過酷な戦いの中で揺れる心情や、キャラクターたちの内面と深くリンクしている。
星街すいせいのエモーショナルな歌声が、ガンダムの新たな時代を象徴するこの作品に、強烈な印象と余韻を与えている。
なぜ星街すいせいがガンダムとコラボしたのか?

これまでのガンダムシリーズでは、T.M.RevolutionやAimer、LUNA SEA、アイナ・ジ・エンドといった、実力派アーティストたちがテーマ曲を手がけてきた。そんな中でVTuberである星街すいせいが選ばれたことは、ガンダムシリーズにとっても大きな挑戦であり象徴的な一歩だ。
VTuberとしての活動だけでなく、武道館ライブを成功させるなど「リアルとバーチャルの垣根を超えた存在」である彼女だからこそ、今の時代のガンダムを担うにふさわしいアーティストとして選ばれたのだろう。
星街すいせい×ガンダムの相乗効果に期待

『ジークアクス』は女子高生×モビルスーツという、従来のガンダムにはない新しい切り口で物語が展開される。その革新的な世界観と、星街すいせいの音楽がどう融合するのか。ファンにとっては、新しいガンダムの可能性を体感できるまたとない機会だ。
彼女の歌が物語のエンディングをどう彩るのか、毎週の放送で確かめるのが今から楽しみでならない。
「もうどうなってもいいや」歌詞考察
キャラクター視点で読み解く歌詞の世界
「もうどうなってもいいや」の歌詞には、現実と夢想の狭間でもがく少女の姿が鮮やかに描かれている。
冒頭のフレーズ
堂々巡りのファンタジー / アンソロジー混ざる有象無象
は、まるで戦争と平和、現実と虚構が複雑に入り混じる『ジークアクス』の世界そのものだ。アマテ・ユズリハ(マチュ)が非合法な「クランバトル」に巻き込まれ、混乱と危機に晒される状況が、この“有象無象”という言葉に集約されている。
そしてサビで歌われる
真っ逆さまに落ちていった / 無重力 midnight 逃避行
は、重力=現実から解き放たれることへの願望とも読める。戦いの中で「ニュータイプである自分が何者か」という問いを抱えることになるであろうマチュにとって、この曲は逃避ではなく“心の奥底にある本音”の表出と見ることができる。

孤独、決意、葛藤…“アマテ・ユズリハ”の心情と重なる言葉たち

作中、アマテ・ユズリハは自ら「マチュ」と名乗り、モビルスーツ「GQuuuuuuX」に乗り込んでいく。出自や意志とは関係なく、自分自身を確かめるように戦いへと身を投じていくその姿は、歌詞の中の“当たり前のことが知りたいだけ”というラインと強く響き合う。
苦し紛れの言い訳は
いらない 意味ない 君はどう思う?
という部分は、彼女の内なる問いかけだ。孤独と向き合いながらも、どこかで誰かに理解されたいという切実な想いが滲み出ている。さらに
鳥籠の中で(踊る)
というフレーズは、自由を奪われた状況下で「それでも自分を表現したい」というジレンマを象徴している。アマテの葛藤と決意が、この歌に重なるように思える。
先行劇場版では戦いといえどポップな展開のみ公開されたが、おそらくマチュは「大人たちが勝手にはじめた戦争」に巻き込まれていく。
その中で「自分は何者なのか?」を見つけるはずだ。そこにつながるフレーズとしても興味深い。
星街すいせいが歌うことで生まれるリアリティ

この楽曲を歌うのが“バーチャルシンガー”でありながら、リアルな心の叫びを持つ星街すいせいであることは、非常に象徴的だ。
最後はどうなっても happy ending
それなら好きにさせてよ
もう どうなってもいいや
という“諦めにも似た開き直り”に、ただのフィクションではないリアリティが宿る。
星街すいせいのエモーショナルなボーカルは、アニメの演出だけでは描ききれない“人間の内側”にまで深く入り込んでくる。単なるアニメのEDを超えた、作品世界とリスナーの心を繋ぐ架け橋になっていると言っても過言ではない。
君たちの生きる世界にガンダムで描かれる「戦争」はリアルに存在する。
バーチャルでありながらリアルである彼女の存在が、その事実を私たちに突きつけているようにも思えるのである。
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