2025年3月13日から配信がスタートしたNetflixの新リミテッドシリーズ「アドレセンス」が話題だ。ごく普通に見える家庭に暮らす13歳の少年ジェイミーが、ある日突然“殺人事件の容疑者”として拘束されるところからスタートする緊迫の物語。

長回し(ワンカット)での撮影方法や、本作がスクリーンデビューとなった主演の子役オーウェン・クーパーの演技力などが注目されている。彼が見せる裏と表、正常と狂気が、真実を絶妙に曖昧にさせている感じもあり、「本当にこれがデビュー作?」と思えるほど圧巻なのだ。

この記事では「アドレセンス」の何がすごいのか、またどこに強く胸をえぐられるのかなどを、元テレビ誌記者で現在は2人の子持ちの筆者がざっくばらんに語っていく。

※一部ネタバレを含む可能性がありますのでご注意ください。

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長回し(ワンカット)の何がすごいのか

「アドレセンス」の注目ポイントのひとつは、紛れもなく途切れなくカメラを回し続ける「長回し(ワンカット)」で撮影が行われた点だろう。この撮影方法を選んだことで、視聴者はまるで自分がその現場に立ち会っているような、圧倒的な没入感や緊迫感を得ることになったはずだ。

筆者はテレビ誌記者時代に民放テレビドラマの撮影現場に数多く赴いたことがあるが、多くは細かくカットが割られ、撮影が行われていた。余計な映り込みなくスムーズな動線を確保しながら長回しで撮影を行うのは技術的なハードルが高くなるし、入念なリハーサルなども必要になる。役者は撮影時間1時間なら、1時間分のせりふを完全に暗記しなければいけない(ちなみに「アドレセンス」は全4話あり、各話は60分程度)。

また長回しだと芝居のテンポも含めモロに演技の実力が出てしまうので、新人俳優などの場合は細かくカット割りして撮影していくことによって、あとから編集で演技力をカバーすることもある。

「アドレセンス」では例えば警察が容疑者宅に武装して突入し、署まで移送するなど“移動シーン”も比較的多い。どうやってスムーズなカメラワークを実現したのだろうと感服してしまうし、そこにはNetflixならではの、資金面も含めた高い制作力が大きく寄与しているんだろうなとも感じた。

何回撮り直しが行われたのかも筆者としては地味に気になった(想像にすぎないが、たとえばあと5分で撮影が完了するくらい終盤まで完璧だったのに最後の最後で失敗したらどうだったか…などと余計なことを考えてしまう(笑)。最後まで演じきること自体の緊迫感もあったのだろうなと察する)。

また、本作がデビュー作となったオーウェン・クーパーの演技力もすごい。長回しで実力がわかりやすい中、普通の少年なのに突然“容疑者”として武装した警察に拘束され動揺する姿や、その後女性の臨床心理士と初めこそ穏やかな会話を展開するが、あるタイミングから激昂していく様子などを見事に演じきっている。

子を持つ親として考えさせられる側面

容疑者の少年ジェイミーの家族は、きっと至ってありふれた家族なのだと思う。そんな家庭に暮らす少年が“殺人事件の容疑者”として突然渦中の人になってしまう。

ジェイミーがむしろ成績は優秀で賢い人物であることは途中で描かれるが、そうした問題なさそうに見える子でも殺人を犯したとして拘束されてしまうのだから、子を持つ親としては「自分の子育て、本当に大丈夫か?」「もし自分がこの状況にいたら対処することができるのだろうか」などと感じずにはいられない場面も多かった。

また、事件の担当警部は「被害者が加害者ジェイミーのSNSにたびたび書き込みをしていた」ことから両者は親交があるとして捜査を始めていた。だが、彼(警部)自身の子どもによってその書き込みには“若者にしかわからない別の意味”が含まれており、実はジェイミーがいじめられていたことが明らかになる。

さらに物語が進むと、ジェイミーはマノスフィア(主にオンライン上で展開される、男性中心の思想のこと)の思想に傾倒していたことも示唆される。これに対し両親は、息子がパソコンで何に触れていたのか知ることは難しかったし、自室にいれば安全だと思っていたといった内容を話している。

子を持つ親としては、ネットを通じて自分の子どもがどんな考えに触れるのかまで逐一管理することは現実問題として難しいし(それに、もししていたらそれはそれで毒親だとも思う)、ではどんな子育てをすればこんな最悪な事態を防げるんだろうと考えてしまう。SNSが絡む子どものトラブルで、いかに大人が非力であるかも痛感させられるのが本作だった。

そして、「アドレセンス」とは思春期の意だが、劇中では13歳に問いかけるにしては、親だったらためらうような性的な質問が、臨床心理士からなされるシーンがあった。今の時代、適切なタイミングで性の話題を親子間で行ったほうがいいのでは、とは筆者も個人的には思うが、どのタイミングでどんなアプローチをしていくかは非常に難しい問題だなとも感じさせられた。

センセーショナルな話題作「アドレセンス」はNetflixで独占配信中

3月13日から配信が始まったばかりの「アドレセンス」は、Netflixで独占配信中。話題にのって、全4話・合計4時間程度のセンセーショナルな本作を堪能してみてはいかがだろう。

参考までに、Netflixの料金といったサービス概要は次のとおり。未登録の方は参考にしてみてください。

作品数 非公開
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