想像を絶するラストで幕を閉じ、おぞましい恐怖や騙された快感に包まれるどんでん返し映画。
サスペンス、ホラー、スリラー、邦画や洋楽などなど、数ある中でもどんでん返し度が群を抜く20作品を厳選し、ランキング形式で紹介します。
どんでん返し映画おすすめランキング20! 最後の最後まで目が離させない【2020年版】
最終更新日:2020年12月29日
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【20位】『コンフィデンスマンJP ロマンス編』
上映日 | 2019年05月17日 | 製作国 | 日本 |
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上映時間 | 116分 | ジャンル | コメディ |
監督 | 田中亮 | 脚本 | 古沢良太 |
出演者 | 長澤まさみ、東出昌大、小手伸也 ほか |
和製コンゲームムービーの快作
「コンフィデンスマン=信用を巧みに操る信用詐欺師」たちの今回の企てには、観る者の斜め上を行く周到な伏線回収とどんでん返しが待ち受け、痛快なラストでスッキリとした後味に結実。
「待てよ、ダー子はいつから仕組んでいたんだ?」と、観終わった後には最初から伏線を確認し直さないではいられなくなるはずです。
ストーリー
コンフィデンスマン=信用詐欺師のダー子、ボクちゃん、リチャード。彼らが次なるターゲットにしたのは香港マフィアの女帝、ラン・リウだった。彼女が所持する伝説のパープルダイヤを狙って、3人は香港に乗り込むが、天才詐欺師ジェシーが同じくランを狙っていることがわかり……。
どんでん返しキーマン:モナコ
ダー子に詐欺を見破られたことをきっかけに、ダー子の弟子になった女性詐欺師・モナコに注目です。モナコは果たして騙す側、騙される側のどちらの人間なのか。ダー子がモナコを仲間に招き入れた狙いは何なのか。
彼女は物語の本流にはいないと思わせつつ、実は重要な役割を担っています。
【19位】『プレステージ』
上映日 | 2007年06月09日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 130分 | ジャンル | ドラマミステリー |
監督 | クリストファー・ノーラン | 脚本 | クリストファー・ノーラン |
出演者 | ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン ほか |
度肝を抜く人間瞬間移動トリック
ライバル奇術師のふたりが、お互いのトリックを見破って貶めようとする姿をサスペンスフルに描いた本作。
クリストファー・ノーラン監督によって、作品全体にまさに奇天烈なトリックが仕掛けられ、ラストの種明かしは規格外です。「あの場面のあいつはどっちのあいつ?」と、巻き戻しては確認する欲求に駆られ、噛めば噛むほど面白さが増す作品です。
ストーリー
19世紀末のロンドン。若き奇術師のアンジャーとボーデンは、互いに切磋琢磨し合っていた。しかしある日、アンジャーの妻で助手のジュリアが水中脱出に失敗して死亡。ボーデンの結んだロープが外れなかったことが原因だったことから、アンジャーはボーデンへの復讐心を燃え上がらせる。
どんでん返しキーマン:ニコラ・テスラ
ボーデンの人間瞬間移動トリックの種を見破るため、アンジャーは科学者のニコラ・テスラのもとを訪れます。そこでテスラがアンジャーに託した機械が、この作品全体のトリックを暗示。
ニコラ・テスラのモデルは、エジソンと対立してマッドサイエンティストと揶揄された実在の科学者。デヴィッド・ボウイ演じるテスラは怪しさ満点で、その登場シーンから必見です。
【18位】『グランド・イリュージョン』
上映日 | 2013年10月25日 | 製作国 | フランス |
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上映時間 | 115分 | ジャンル | ミステリークライム |
監督 | ルイ・レテリエ | 脚本 | エド・ソロモン |
出演者 | ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、ウディ・ハレルソン ほか |
マジシャンたちに手玉に取られる快感
観客の「まさか」が大きければ大きいほど、大成功といえるイリュージョンの世界。本作でマジシャン4人組の“フォー・ホースメン”が繰り出す「まさか」は、いずれも特大です。
しかし、彼らが繰り出す大掛かりなマジックは、あくまでも“エサ”。彼らの本当の狙いは、実はとても個人的な恨みに起因していたのです。その恨みの種から飛び出すどんでん返しに、超特大の「まさか」が頭に駆け巡り、スカッと胸がすきます。
ストーリー
何者かによって集められた4人の凄腕マジシャンチーム“フォー・ホースメン”。彼らはラスベガスでショーをしながら、パリの銀行から金を奪うというマジックを披露する。実際にパリの銀行から金が消えていたことから、彼らはFBIとインターポールから追われるが……。
どんでん返しキーマン:ライオネル・シュライク
序盤に登場するライオネル・シュライクというマジシャン。彼は、フォー・ホースメンのトリックを暴くために警察に招聘されたサディアスと因縁深い人物。サディアスによってトリックの種を暴露された彼は、名誉挽回をめざす最中に行方不明になってしまいました。
彼の存在が、フォー・ホースメンの面々を集めた謎の人物につながっていきます。
【17位】『セッション』
上映日 | 2015年04月17日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 106分 | ジャンル | 音楽 |
監督 | デイミアン・チャゼル | 脚本 | デイミアン・チャゼル |
出演者 | マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、ポール・ライザー ほか |
鬼教師による狂気のレッスンの行方
名門音楽大学に入学した若きドラマーと生徒たちから畏怖される鬼教授。このふたりが音楽に対する激情、意地をぶつけ合うレッスンは狂気の沙汰。ホラーの領域ともいえるでしょう。
そのふたりが教室の外であいまみえたとき、ふたりの間にはどんなセッションが繰り広げられるのか。誰にも踏み入ることを許さず、荘厳さすら感じさせる約10分間のセッションに刮目です。
ストーリー
名門大学に入学したドラマーのニーマンは、伝説の教師といわれるフレッチャーのバンドにスカウトされ、彼の指導を受けることになる。しかし、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの指導は常軌を逸し、ニーマンはじりじりと精神的に追い詰められていく。
どんでん返しキーマン:フレッチャー
注目すべきは鬼教授のフレッチャーです。コンプライアンスと無縁であるかのように、彼はニーマンに罵声や無理難題を浴びせます。
音楽への情熱が彼をそう駆り立てたのか、もしくは生徒を虐げることに快感を覚えていたのか。彼の心情を想像しながら観ていくと、ラストが違ったものに見えてくるかもしれません。
【16位】『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』
上映日 | 2003年07月26日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 131分 | ジャンル | サスペンススリラー |
監督 | アラン・パーカー | 脚本 | チャールズ・ランドルフ |
出演者 | ケヴィン・スペイシー、ケイト・ウィンスレット、ローラ・リニー ほか |
死刑囚は本当に罪を犯したのか?
出演作でことごとく怪演を見せるケヴィン・スペイシー主演のサスペンスです。
処刑が迫る死刑囚は、死刑制度反対論者の元大学教授。彼が面会所の柵越しに雑誌記者に冤罪を訴える独白は、果たして真実なのか。
「もしや彼の思惑は……」「本当の死因は……」と考えを巡らせながらも、物語の行方は最後の最後、エンドロール直前まで観る者を翻弄。観終わった後には、感情の揺れ動きがしばらく止まりません。
ストーリー
雑誌記者のビッツィーは死刑囚のデビッド・ゲイルから指名を受け、死刑執行直前の3日間、彼にインタビューをすることになった。ゲイルは死刑制度反対派の元大学教授で、教え子へのレイプ事件で教授の職を失い、元同僚を殺害した罪で死刑を宣告されていた。
どんでん返しキーマン:ダスティ
キーマンはカウボーイハットを被った謎の男・ダスティ。ゲイルが殺したとされる元同僚を敬愛する彼は、中盤あたりから物語に急浮上し、ゲイルの冤罪を疑う雑誌記者・ビッツィーに不審がられます。
彼は度々画面に登場しながらも一切言葉を発さず、無表情ゆえに感情を読み取れません。しかし、事件の裏には彼の熱き思いが激っています。
【15位】『鍵泥棒のメソッド』
上映日 | 2012年09月15日 | 製作国 | 日本 |
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上映時間 | 128分 | ジャンル | コメディ恋愛 |
監督 | 内田けんじ | 脚本 | 内田けんじ |
出演者 | 堺雅人、香川照之(市川中車)、広末涼子 ほか |
伏線のさらい方も痛快なラストも見事
どんでん返し映画の名手・内田けんじ監督作品の中でも、筆者のイチオシは本作です。
売れない役者と伝説の殺し屋の立場が入れ替わることから物語が動き出します。自分は売れない役者だと思い込む伝説の殺し屋は出会った女性と惹かれ合い、一方で伝説の殺し屋に成りすます売れない役者はヤクザの悪事に巻き込まれて大騒動。
大きなどんでん返しが待っているのではなく、小さなどんでん返しと伏線が幾重にも張り巡らされ、ラストに観る者を気持ちよくさせるのは、さすが内田監督です。
ストーリー
銭湯で羽振りのいい男が転倒し、記憶を失ってしまう。その場に居合わせた貧乏役者の桜井は、咄嗟にロッカーの鍵をすり替え、彼になりすます。だが、その男は伝説の殺し屋・コンドウだった。一方、自分を桜井だと思い込んだコンドウは、真面目に役者としての成功をめざす。
どんでん返しキーマン:水嶋香苗
広末涼子演じる水嶋香苗に注目です。香苗は演技の勉強に励む桜井のひたむきさに惹かれるのですが、桜井になり代わったのは裏稼業で生きるコンドウであり、香苗もコンドウ本人もその事実を知りません。
しかし、やがて香苗と過ごすコンドウが、あるきっかけから本当の自分の記憶を蘇らせます。そして香苗の発した言葉が、桜井、コンドウがヤクザに追い込まれた窮地から救うのです。
まさに香苗は複雑に入り組んだこの物語の「鍵」を握る存在といえます。
【14位】『鑑定士と顔のない依頼人』
上映日 | 2013年12月13日 | 製作国 | イタリア |
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上映時間 | 131分 | ジャンル | ミステリークライム |
監督 | ジュゼッペ・トルナトーレ | 脚本 | ジュゼッペ・トルナトーレ |
出演者 | ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルヴィア・フークス ほか |
‟顔のない依頼人”の正体は?
一流の鑑定眼をもつ鑑定士・ヴァージルはある謎めいた依頼人に恋愛感情を抱き、やがてふたりは惹かれ合う関係に。しかし、依頼人の彼女には別の思惑があり……。
ヴァージルは美術品の真偽を見抜く眼には優れているものの、人を見抜く眼はいかに。ヴァージルへの感情移入が止まらず、「たとえ騙されていたとしても、信じ続けていたい」という彼のやるせなさが胸に迫り、それでいて哀愁に満ちたラストが気持ちよく心に刻まれることでしょう。
ストーリー
美術鑑定士のヴァージルは、自ら主催するオークションで女性の肖像画を格安で落札し、自宅で収集していた。そんな彼のもとに、死去した両親が集めた美術品を競売にかけてほしいという依頼が入る。しかし、ヴァージルが依頼人の邸宅を訪れると、依頼人の女性は姿を現さず隠し部屋に引きこもっていた。
どんでん返しキーマン:ロバート
依頼人・クレアの邸宅を訪ねた鑑定士のヴァージルは、クレアの邸宅でネジ式の部品を見つけ、修理稼業のロバートに部品を見せてその価値を確かめます。ロバートの鑑定により、その部品は18世紀のものでアンティークとして貴重なものだとわかります。
何気ないやりとりですが、果たしてロバートの本当の思惑は何だったのか。ロバートに注目しておくと、ラストのヴァージルの哀愁がいっそう際立つはずです。
【13位】『トゥルーマン・ショー』
上映日 | 1998年11月14日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 103分 | ジャンル | ドラマコメディSF |
監督 | ピーター・ウィアー | 脚本 | アンドリュー・ニコル |
出演者 | ジム・キャリー、エド・ハリス、ローラ・リニー ほか |
平凡な人生を世界中が傍観していた
保険会社に勤める平凡な男・トゥルーマンは、実はリアリティショーの主人公で、彼が暮らすのは太陽も月も空も全て作られたセットの中。彼の妻も、両親も、幼馴染も、彼以外は全員役者で、彼の人生に起こった出来事はテレビ局による筋書通りです。
そんな世界に違和感を覚えたトゥルーマンは、誰にもコントロールできない彼自身の意思によって、どんなどんでん返しを起こすのか。トゥルーマンの行動に飛び切りの感動と勇気をもらえます。
ストーリー
離島で生まれ育ったトゥルーマンは、保険会社で働き、妻のメリルと平凡ながらも幸せな日々を送っていた。しかし、本人だけが知らないうちに、彼は生まれた時から生活のすべてを、テレビのリアリティショーで全世界に生中継されていた。やがて彼は自分の生きる世界に違和感を覚え始め……。
どんでん返しキーマン:メリル
トゥルーマンの妻・メリルは、トゥルーマンに真相がばれないように妻を演じながら、リアリティショーの視聴者に向けて調理器具や芝刈り機の宣伝を挟み込んでいきます。
そうした役者としての仕事をせっせとこなしながらも、彼女はトゥルーマンが自分の住む世界が作り物だと確信する決定打を放ってしまいます。そんな役者を貫ききれなかったメリルの行動や表情に注目です。
【12位】『search/サーチ』
上映日 | 2018年10月26日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 102分 | ジャンル | サスペンス |
監督 | アニーシュ・チャガンティ | 脚本 | アニーシュ・チャガンティ |
出演者 | ジョン・チョー、デブラ・メッシング、ジョゼフ・リー ほか |
パソコン画面上で失踪事件の謎解きが展開
登場人物のパソコン画面越しにストーリー全編が進むという、SNS時代を象徴する画期的なサスペンススリラーです。
その中心に描かれるのは謎の失踪を遂げた高校生の娘の父。彼が娘のSNSの履歴を辿っていくうちに、娘の同級生、ピアノ教室の先生、SNS上の‟友達”、警察など、複雑に入り組んだ人間関係が徐々に符合し始め、思いもよらぬ結末に着地。
本作のスリリングな面白さはテレビ画面のみならず、登場人物の目線に立ってパソコンやタブレット上で視聴するといっそう引き立つはずです。
ストーリー
16歳の女子高生マーゴットが突然失踪し、家出なのか、誘拐なのかもわからないまま37時間が経過した。父のデビッドは手掛かりを探るため彼女のパソコンにログインし、彼女のSNSへアクセスを試みる。すると、SNS上に映し出されたのはデビッドの知らないマーゴットの姿だった。
どんでん返しキーマン:ローズマリー・ヴィック
事件の捜査を担当するローズマリー・ヴィック刑事は、失踪中の娘・マーゴットと同じ年代の息子がいることもあって、父親のデビッドのよき理解者として助言していきます。
しかし、ヴィック刑事が本事件を担当した理由には思いもよらぬ事実がありました。その事実こそがマーゴットが失踪し、事件の捜査が難航する理由でもあったのです。
【11位】『アイデンティティー』
上映日 | 2003年10月25日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 90分 | ジャンル | サスペンス |
監督 | ジェームズ・マンゴールド | 脚本 | マイケル・クーニー |
出演者 | ジョン・キューザック、レイ・リオッタ、レベッカ・デモーネイ ほか |
モーテルに集まった11人と連続殺人の謎
「アイデンティティー=自我」が崩壊しまくる、極上のサスペンスホラーです。
大雨が降りしきるなか、あるモーテルに集まった11人の男女。事故や偶然が重なり合ってモーテルに身を寄せ、何のつながりもない彼らでしたが、1人、また1人と、何者かによって惨殺されるうちに、彼ら自身には知る由もなかった彼らのある共通点が浮上します。
そこから物語は一変、現実世界と精神世界が交錯し始め、彼らの存在自体が大きく崩れていきます。そして、観る者の脳内も揺らぎラストには全身を震撼させる事実が突きつけられます。
ストーリー
嵐の中、寂れたモーテルに足止めを食らった11人の男女。偶然居合わせた彼らだったが、何者かによって次々と殺されていく。やがて彼らは生き残った自分たちの中に殺人犯が混じっていると恐れる。運転手で元刑事のエドは、11人にある共通点があることに気づき……。
どんでん返しキーマン:エド
ジョン・キューザックが怪演した“エド”に注目です。
元刑事の彼は、11人のひとりとして状況の打開や連続殺人犯の解明に奔走します。しかし、実は彼には別の顔があり、彼の存在はまったく別で起こった猟奇殺人事件にも関連します。
エドが11人の奇妙な共通項に気づいて以降、彼が醸し出す表情や雰囲気に目が離せません。ラストに待ち受ける彼の“変化”にも刮目です。
【10位】『エスター』
上映日 | 2009年10月10日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 123分 | ジャンル | サスペンススリラー |
監督 | ジャウム・コレット=セラ | 脚本 | デヴィッド・レスリー・ジョンソン |
出演者 | ヴェラ・ファーミガ、ピーター・サースガード、イザベル・ファーマン ほか |
可愛い少女が秘めた恐ろしい内面
どんでん返しトップ10は、世界中を震撼させた衝撃のサイコホラー。2020年に続編の製作が発表され、本作にあらためて注目が集まっています。
真面目で礼儀正しい9歳の少女・エスター。その外から見た理想の少女像とは裏腹に、彼女の内面には恐ろしい凶暴性が宿っていて、彼女にかかわる大人や子どもたちを恐怖に突き落とします。
「彼女の本性は?」「凶暴を重ねる狙いは?」に対するえげつない真相が明かされるたびに、彼女の本性に気づいた里親のケイトと共に、息をするのも忘れるほど震え慄くはずです。
ストーリー
3人目の子どもを流産したケイト・コールマンと夫のジョンは、9歳の少女・エスターを孤児院から養子として引き取る。エスターは9歳の割には落ち着いた性格で、コールマン一家にすんなりと溶け込んでいった。しかし、彼女はやがて恐ろしい本性を現し始め……。
どんでん返しキーマン:ケイト
エスターを養女に迎えたコールマン夫妻の妻、ケイト。彼女がエスターの正体を疑い始めて以降、エスターの凶暴な矛先がケイトに向けられ、夫のジョンとの間にあった過去の亀裂も深まってしまいます。
エスターがそこまで彼女を追い詰めるのは、彼女がエスターの狙いを阻む存在だったから。ふたりの“女同士”の攻防に注目です。
【9位】『真実の行方』
上映日 | 1996年11月02日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 131分 | ジャンル | ドラマ |
監督 | グレゴリー・ホブリット | 脚本 | スティーヴ・シェイガン |
出演者 | リチャード・ギア、ローラ・リニー、ジョン・マホーニー ほか |
どんでん返しを畳み掛ける傑作サスペンス
本作はエドワート・ノートンが衝撃のデビューを飾った作品として知られ、どんでん返しの衝撃度は数あるサスペンス作品の中でも最大級です。
父親同然の大司教を殺すはずがないと無実を訴えるアーロン。激しく動揺し、凶暴性をさらけ出すアーロン。そして、恐ろしい真実を明かすアーロン。アーロンの人格が乗り移ったようなエドワード・ノートンの演技力が観る者に唖然とするほどの衝撃を残します。
ストーリー
シカゴで大司教ラシュマンが自宅で殺された。現場から血まみれで逃亡した19歳の青年アーロンが逮捕されるが、彼は弁護士のマーティンに無実を主張する。マーティンは事件直後から失ったというアーロンの記憶を探るため、精神科医に彼の記憶の分析を依頼するが……。
どんでん返しキーマン:アーリントン
アーロンの精神分析を依頼された精神科医・アーリントン。彼女はアーロンとの面談を通して、アーロンが二重人格者ではないかと推察します。
彼女の推察を軸にアーロンの弁護人であるマーティンは法廷での戦略を企てますが、果たして彼女の推察は合っていたのか、それとも事件には他に真実が隠されているのか。
彼女の推察が真実の行方を左右する分岐点になります。
【8位】『マッチスティック・メン』
上映日 | 2003年10月04日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 116分 | ジャンル | サスペンスクライム |
監督 | リドリー・スコット | 脚本 | ニコラス・グリフィン |
出演者 | ニコラス・ケイジ、サム・ロックウェル、アリソン・ローマン ほか |
予想外の詐欺師に騙され、温かい余韻が残る
リドリー・スコット監督が贈る、詐欺師たちの人間模様を描いたヒューマンドラマ。
ニコラス・ケイジ演じる詐欺師が、別れた妻との間にできた14歳の娘と初めて顔合わせ。思春期真っただ中の娘に戸惑いながらも、彼は娘と心を通わせていきます。しかし、詐欺師の相棒と大仕事に打って出た彼は、娘を巻き込でしまい……。
詐欺師に騙され、詐欺師が騙され、まさかの真実に翻弄される快感を味わえる本作。繊細な詐欺師が娘との交流を経て変わっていく姿も軽妙に描かれ、温かくて清々しい余韻が残る秀作です。
ストーリー
詐欺師のロイは極度の潔癖症と対人恐怖症に悩んでいた。彼は精神科医の診察をきっかけに、14年前に別れた妻との間にできた娘・アンジェアと会うことを決意する。ロイの仕事を知ったアンジェラは、興味本位でロイから詐欺師のテクニックを学んでいくが……。
どんでん返しキーマン:アンジェラ
ロイの娘・アンジェラは奔放な性格のようで繊細。そんな彼女の言動に注目です。
父親が詐欺師であることを知り、「詐欺を教えて」と、自分の知らない世界へ好奇心を広げていきます。その一方で、母親と暮らす家に自分の居場所を見失い、父親に頼るという弱さも垣間見せます。
アンジェラとロイの親子関係はどんな結末を迎えるのか。そこにこの物語の核心があります。
【7位】『オールド・ボーイ』
上映日 | 2004年11月06日 | 製作国 | 韓国 |
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上映時間 | 120分 | ジャンル | アクションクライムバイオレンス |
監督 | パク・チャヌク | 脚本 | |
出演者 | チェ・ミンシク、ユ・ジテ、カン・ヘジョン ほか |
15年間軟禁され、解放された理由に震撼
理由もわからず15年間軟禁され、突然解放された男・デス。彼が自分を軟禁した相手に復讐心を燃やし、相手を捜索するところから復讐劇が動き出します。
しかし、実は復讐の標的になっていたのはデス本人。しかも、15年間の軟禁によってデスへの復讐が果たされたのではなく、解放されてからが本当の復讐の始まりだったのです。
よくもまあこんな残酷な物語を思いつくものだと、強烈な後味と共に感嘆する本作の原作は日本の漫画『ルーズ戦記オールド・ボーイ』。監督・脚本は復讐サスペンスの鬼才、パク・チャヌクです。壮大な復讐劇の全貌が明らかになったときの衝撃は、しばらく引きずることになるでしょう。
ストーリー
平凡な会社員のオ・デスは突然拉致され、小さな部屋に監禁されてしまう。15年の監禁生活を経て解放されたデスは、若い女性・ミドの助けを借り、監禁した相手の正体を探る。そんな2人の前に謎の男・ウジンが現れ、互いの命を懸けた5日間のゲームを提案する。
どんでん返しキーマン:ミド
デスが軟禁から解放後、ふらっと立ち寄った寿司屋で出会ったミドに注目です。
彼女はデスの力になり、やがてデスと体を合わせる関係になります。やがて物語が進み、デスが軟禁された理由の核心に近づくと、ミドも危険に巻き込まれてしまいます。
しかし、ミドが巻き込まれたのも実は相手の思惑通り。ミドの存在そのものがデスが15年もの軟禁を強いられた理由だったのです。
【6位】『ゴーン・ガール』
上映日 | 2014年12月12日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 149分 | ジャンル | サスペンススリラー |
監督 | デヴィッド・フィンチャー | 脚本 | |
出演者 | ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス ほか |
無関心浮気男に業を煮やした妻の衝撃計画
デヴィッド・フィンチャー監督が生み出した、背筋が薄ら寒くなるサスペンスホラー。
理想的だと思われていた夫婦の状況が、妻の突然の失踪で一変。理想像とはかけ離れた夫婦の実態が次々とさらされていきます。
そんな中、観る者は早い段階で、妻が自作自演した狂言失踪だという事実を知らされます。そこから能面のように表情を変えず、計画を粛々と進めていく妻の恐ろしさに衝撃が走りっぱなし。妻が繰り出す夫への最後の打ち手は、誰も予想できないことでしょう。
ストーリー
ニックとエイミーは幸せな夫婦生活を送っていたが、結婚5周年の記念日に突然、エイミーが姿を消す。部屋が荒らされ、キッチンにエイミーの大量の血痕があったことから、警察は他殺と失踪の両方の可能性を探る。だがやがて疑いの目がニックに向けられ…。
どんでん返しキーマン:デジー
失踪事件を機に、妻・エイミーのことを何も知らなかったと気づくニックは、彼女が過去にかかわった男たちが自殺未遂を図ったり、レイプの嫌疑をかけられたりしていた事実に直面します。
そのうちの一人、自殺未遂を図った男・デジーに注目。彼は、エイミーが自身の計画を締めくくるうえで重要なピースになります。
【5位】『ピエロがお前を嘲笑う』
上映日 | 2015年09月12日 | 製作国 | ドイツ |
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上映時間 | 106分 | ジャンル | ミステリークライム |
監督 | バラン・ボー・オダー | 脚本 | |
出演者 | トム・シリング、エリアス・ムバレク、ヴォータン・ヴィルケ・メーリング ほか |
天才ハッカーの仕掛けが物語を覆す
トップ5の皮切りは、ドイツ発で世界に衝撃を巻き起こしたサイバースリラー。
ハッカー4人グループ“CLAY(クレイ)”がこの物語の軸となり、彼らは自分たちの存在を誇示するために、数々のシステムに入り込み、愉快犯的に世間をかき乱します。しかし、調子に乗った彼らは、ロシアの過激なハッカーグループに命を狙われます。そこで彼らが仕掛けた巧みな戦略とは――。
それは、彼らお得意のサイバー戦ではなく、巧妙な心理戦。主人公が劇中で披露する「手の中の4つのキューブが1つになり、1つのキューブが4つになる」というマジック(鑑賞後にじわじわと来る伏線)のように、観る側も彼らの手の中で二転三転と翻弄されるはずです。
ストーリー
殺人事件への関与で指名手配されていた天才ハッカー・ベンヤミンが警察に出頭した。彼はマックスと出会ったことでハッカー集団“CLAY”を結成し、次々とハッキングを繰り返して世間の注目を集めてきた。やがて自分たちは陰謀に巻き込まれていったとベンヤミンは語るが……。
どんでん返しキーマン:ハンネ・リンドベルク
ユーロポールの女性捜査官、ハンネ・リンドベルクに注目です。
彼女は、出頭してきた“CLAY”の天才ハッカー、ベンヤミンの供述をもとに捜査を進めるものの、やがて彼の話に違和感を覚え始めます。
彼女による推理と違和感がこの物語のキーであり、どんでん返しを呼び起こします。
【4位】『ファイト・クラブ』
上映日 | 1999年12月11日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 139分 | ジャンル | ドラマ |
監督 | デヴィッド・フィンチャー | 脚本 | ジム・ウールス |
出演者 | エドワード・ノートン、ブラッド・ピット、ヘレナ・ボナム=カーター ほか |
ラストのどんでん返しは映画ファンの語り草
どんでん返し映画といえば、デヴィッド・フィンチャー監督。なかでも筆者が強烈な衝撃に射抜かれたのが、『ファイト・クラブ』です。
何不自由ない生活に心が満たされない“僕”と、暴力と破壊によって生の実感を得るタイラー。陰陽真逆のふたりの男が地下組織”ファイト・クラブ”を結成し、殴り合い、強烈な痛みによって生きている実感を深めていくストーリーです。
タイラーが破壊行動を過激化させ、ビル爆破を計画していることを知った“僕”の取った行動とは――。タイラーとは何者だったのか。“僕”にとってどんな存在だったのか。僕=自分と置き換えてみると、この物語の核心が痛いほど胸に迫ってくることでしょう。
ストーリー
若きエリートのジャックは刺激のない生活を送り、不眠症に悩む毎日だった。しかし、タイラーと名乗る男と出会い、彼の生活にハリが生まれる。ふたりは互いに殴り合うことで心を満たし、多くの見物人を集めた。やがてタイラーは“ファイト・クラブ”という地下秘密集会を仕切り始める。
どんでん返しキーマン:マーラ
ラストへの伏線が端々に張り巡らされている本作。その一つが、マーラという女性の存在です。
マーラに自分を見ているかのような類似性を感じ、反発心を抱く“僕”。彼女とタイラーが肉体関係を持った時には、彼女がタイラーを奪ったと思い込み、彼女に理不尽な怒りをぶつけます。
そうしたマーラと“僕”のやりとりに、ちょっとした言葉に、“僕”の正体が内包されています。
【3位】『スティング』
上映日 | 1974年06月15日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 129分 | ジャンル | ドラマコメディクライム |
監督 | ジョージ・ロイ・ヒル | 脚本 | デヴィッド・S・ウォード |
出演者 | ロバート・レッドフォード、ポール・ニューマン、ロバート・ショウ ほか |
「やられた!」とラストに唸ること必至
詐欺師たちの騙し合い、コンゲームを描いた1973年製作の本作は、今も色褪せることのない不朽の傑作です。
詐欺師コンビのフッカーとゴンドーフが大勝負の仕掛けを張り巡らせる過程からカッコよさがほとばしり、ストーリー展開はリズミカルで巧妙。いよいよ大物ギャングを罠に陥れるクライマックスには、観る者もまんまと気持ちよく騙され、ラストはスカッと爽快。
ふたりを演じたのは、若き日のポール・ニューマンとロバート・レッドフォード。ふたりの男気あふれる魅力に打ちのめされること、間違いなしです。
ストーリー
1936年のシカゴ。詐欺師のフッカーは、仲間のルーサーと共に通りがかりの男から金を騙し取る。しかし、その金はニューヨークの大物ギャング・ロネガンのものだった。怒ったロネガンの組織はルーサーを殺害。フッカーは復讐のため、大物詐欺師のゴンドーフのもとを訪れる。
どんでん返しキーマン:ロネガン
フッカーとゴンドーフが騙しの標的にした、大物ギャングのロネガン。
さすが裏社会でのし上がってきただけあって、ロネガンは疑り深くて慎重。フッカーとゴンドーフの誘いに簡単には乗ってきません。しかし、その上手をいくのが、名コンビたる由縁。
ロネガンがふたりにどう騙されていくのかに注目するうちに、観る側もいつの間にかふたりの術中にはまっていくはずです。
【2位】『ユージュアル・サスペクツ』
上映日 | 1996年04月13日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 105分 | ジャンル | サスペンスクライム |
監督 | ブライアン・シンガー | 脚本 | クリストファー・マッカリー |
出演者 | スティーヴン・ボールドウィン、ガブリエル・バーン、チャズ・パルミンテリ ほか |
伝説のマフィアは本当に実在するのか?
伏線の張り方、現実と回想の組み合わせ方、そしてラストのどんでん返しが見事な本作はクライムサスペンスの超一級品です。
カリフォルニア州で起きた麻薬密輸船爆破事件。事件から無傷で生還したキントによる証言を通して、謎に包まれた事件の顛末が映し出されていきます。
キントが語るのは、事件の黒幕であり、裏社会の誰もが恐れる伝説のマフィア、カイザー・ソゼの存在。クイヤン捜査官はキントの話からソゼの正体に当たりをつけますが、しかしその真相は全く別のところにあったのです。
ちょっとした場面に重要な伏線が巧みに仕込まれ、観る者を欺くミスリードにもおのずと翻弄される秀逸な展開。謎が明かされたようにも、謎が深まったようにも解釈できるラストは誰にも予想がつかず、鑑賞後にはしばらく唖然とすることでしょう。
ストーリー
港に停泊していた麻薬密輸船が爆発炎上し、9100万ドルが行方知れずになった。警察のクイヤン捜査官は、事件から生き残ったヴァーバル・キントを尋問する。事件のあらましを語るキントは事件の黒幕が伝説のギャング。カイザー・ソゼだったと明かす。
どんでん返しキーマン:コバヤシ
キントを含む5人のユージュアル・サスペクツ(常連の容疑者)が拘置所で出会ったことも、カイザー・ソゼの筋書き通り。ソゼの側近弁護士のコバヤシは、その事実を彼らに突き付け、知らぬ間にソゼに踊らされていた5人に麻薬密輸船の爆破を依頼します。
このコバヤシという人物が実は重要な伏線。コバヤシという名が語られるちょっとしたしぐさに、ソゼの正体につながるヒントが隠されています。
【1位】『ゲット・アウト』
上映日 | 2017年10月27日 | 製作国 | アメリカ |
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上映時間 | 104分 | ジャンル | ホラーミステリースリラー |
監督 | ジョーダン・ピール | 脚本 | ジョーダン・ピール |
出演者 | ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ、ブラッドリー・ウィットフォード ほか |
得体の知れない恐怖と違和感の理由は?
1位に選出したのは、新鋭のジョーダン・ピール初監督作品にして、アカデミー賞4部門ノミネート、脚本賞を受賞したホラーサスペンスです。
白人の恋人の実家を訪れた黒人青年。彼に終始まとわりつくのは、「彼女の家族や友人は何だかヘンだ」という漠然とした違和感。黒人使用人の言動にも気持ち悪さがベッタリと張り付き、「こいつがヤバい」「いや実はこいつか」と、観る側も主人公とともに疑心暗鬼に陥ります。
やがて彼女の家族たちの常軌を逸した企てが明るみになり、主人公を深く恐ろしい沼へ沈め落としていきます。アメリカ社会に蔓延る人種差別を皮肉りながら、後半はホラーのアクセルが全開。血みどろの恐怖、どんでん返し、そしてカタルシスと感情の横揺れが気持ちいい快作です。
ストーリー
カメラマンのアフリカ系アメリカ人・クリスは、白人の恋人・ローズの実家に初めて招かれる。人種が違うことに不安を隠せないクリスだったが、ローズの両親から歓待されてひと安心。しかし、彼は次第に「何かがおかしい」と違和感を覚え始め……。
どんでん返しキーマン:ジョージナとウォルター
注目は、彼女の実家で働く黒人の使用人ふたり。初登場シーンから怪しさ満載で、ふとした場面に怪しく映り込む演出は往年のスリラー仕立てです。
そんなわかりやすく怪しいふたりですが、その正体が明かされたときにはギョッとしながらも「そういえばあの仕草……あの言動……」と、張り巡らされていた伏線が一気に頭に駆け巡ることでしょう。
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