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原作は若林稔弥による4コマ漫画。のん演じる主人公のカナコが、ブラック企業をやめて急いで面接した会社（殺し屋）の“ホワイト”な社風に惹かれて勢いで入社し、殺しの才能を開花させていくという物語だ。

見どころのひとつとしては、近頃も「透明感がすごい」と話題の俳優のんが、殺し屋としてスタートを切る主人公のカナコを演じるところ。のんといえば朝ドラの「あまちゃん」（2013年）で人気を博し、同作でヒロインが驚いたときに口にする「じぇじぇじぇ」ということばは、その年のユーキャン新語・流行語大賞に選ばれたほど。

のんが当時からのみずみずしいピュアな魅力は健在のまま、イメージとギャップのある殺し屋役を演じているのが見どころのひとつだろう。

また、一見「ホワイトな社風に惹かれて勢いで殺し屋になる」というのはコミカルなようで、社会風刺が効いていて面白い。ドラマはカナコが「一度も人として扱われないまま辞めた」と元いた会社のブラックさに絶望しつつ、新しい仕事が決まらないことに深刻な表情を浮かべるところから始まる。ホワイトな社風に惹かれて殺し屋になってしまうというのは、それほど「現代においてホワイトさが魅力」だということで、シニカルでもある。

さらにのんといえば、「あまちゃん」ではすでにクドカン（宮藤官九郎）が描いた物語で天然の主人公アキを演じ、コミカルな演技の才能も発揮していたが、本作「幸せカナコの殺し屋生活」でもカナコが殺し屋として入社後は、のんが「狙いすぎずに笑わせる」ようなコメディの才能をいかんなく発揮しており、テンポよく進む物語は観ていて痛快で、実に面白い。カナコが「ゲロ怖」と表現し、「殺すぞ」しか言わない会社の先輩・桜井（藤ヶ谷太輔）とのタッグも必見！

さらに言うと、観ていて意外だなと感じるのが、アクションシーンが想像の何倍も何十倍も本格的なところ！ のんや藤ヶ谷太輔が、壁や天井を縦横無尽に走り回りながら敵を倒していくシーンは見ごたえ抜群だ。

殺し屋としては相当強いのに、随所でのんがCGの動物を肩に乗せて、「イヤイヤイヤイヤ、ロップイヤー！！」などと動物にまつわる心の声をギャグで表すのも面白く、観ていてクセになるはず。玉木宏らが出演した「極主夫道」や山田孝之らが出演した「勇者ヨシヒコ」シリーズが好きな人などにもハマるだろう。