『リーガル・ハイ』『コンフィデンスマンJP』『鈴木先生』――脚本家・古沢良太が脚本を手がけた作品には、強烈に記憶に残る“言葉”がある。

笑えるのに深い。軽妙なのに重たい。キャラクターたちによって紡がれる言葉は、実際にはなさそうな物語でもなぜか妙にリアリティを感じさせる。本記事では、代表作から古沢良太脚本の魅力を紐解いていこう。

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脚本家としての出世作となった異色学園ドラマ『鈴木先生』(2011年)

U-NEXT 「鈴木先生」イメージ写真

出典:U-NEXT(鈴木先生)

2002年に『アシ!』で第2回テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞を受賞し、その後は水谷豊の『相棒』シリーズ(2005年~)で経験を積んでいくかたちとなった古沢良太。その出世作として知られるのが、長谷川博己が一見平凡そうに見えるが独自の教育理論を持つ主人公の中学校教師を演じた異色の学園ドラマ『鈴木先生』(2011年)だ。

特徴的なのは、主人公の内面が溢れ出るモノローグも含む、せりふの多さや長さ。例えば鈴木先生の細かい逡巡や生徒へ向けたアドバイスなどが、理屈立てて描かれていく。

学校教育は不良や問題児に手が掛かる分、手の掛からない普通の子たちの心の摩耗の上に成り立っている

「(生徒会選挙の投票にあたり)選挙というのは、人間関係やしがらみで投票するものではない。また他人にそれを強要したり、そういう空気を作ることもいけないんだ。自分の頭で考え、自分の意思で投票する。その一票は他の誰でもない、自分自身が責任を負う一票だからだ

鈴木先生の語りは感情的というより思考ベースで、正論のように見えてもどこか迷いを感じさせるところもある。視聴者として「たしかに」と思いつつ、「それでいいのか?」と考えさせられるものも多い。せりふの妙がこの頃から光っている。

ほかにも学校近隣の公園の喫煙スペースを不審者対策で撤去要請したあとのシーンでは、鈴木先生がその出来事を「世の中を息苦しくする手伝い」と表現したり、生徒会選挙の投票方法には「グレーゾーンを残すべきでは」と考えたり……印象的なせりふやシーンは多い。

U-NEXT 「鈴木先生」イメージ写真

出典:U-NEXT(鈴木先生)

なお余談だが、生徒役で10代の頃の土屋太鳳をはじめ、北村匠海(直近だと放送中の朝ドラ『あんぱん』で戦時下のシーンが話題)や松岡茉優といった面々が出てくるのもなんだか感慨深いドラマ。

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観るのがクセに! 毒舌弁護士を主人公に据えた『リーガル・ハイ』(2012年ほか)

『リーガル・ハイ』は、弁護士ドラマという枠に収まりきらないほどユニークな作品。堺雅人演じる主人公・古美門研介は、勝つためなら手段を選ばないやり手弁護士だ(いうなれば、論理と皮肉で相手をねじ伏せるようなスタイル)。

法廷でのやり取りはもちろん、日常会話のテンポも抜群でクセになる。ときには暴言すれすれ、でもそれが妙に的を射ていたりして、つい笑ってしまう。

第1話から古美門節は全開で、電車でお年寄りに席を譲らなかったことを咎められた際に「しかし若いから体力がありお年を召しているから体力がないと一様に断じてしまっていいものでしょうか? 例えばわたしは年齢が38だが、あなた、わたしが重度の心臓病を患っている可能性を少しでも考慮しましたか?」(古美門)と言ってのけている。

また、「正義は金で買える。金を持ってこい!!」「正義は特撮ヒーロー物と『少年ジャンプ』の中にしかないものと思え」などのせりふも強烈だ。

古沢良太はキャラクターを創造する際に、その人物の性格を直接的に描写するのではなく、まず人物スケッチをして、そこにセリフやシーン、アクションといった行動を書き加えていると過去に語ったことがある。こうしたキャラクターづくりが、どこかリアルでクセになる世界観につながっていると思うと面白い。

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天才詐欺師たちの活躍を描いた『コンフィデンスマンJP』(2018年ほか)

『コンフィデンスマンJP』は長澤まさみら扮する信用詐欺師たちの姿を描く、痛快エンターテインメントコメディ。だましだまされストーリーが二転三転する“コンゲーム”を題材にしており、ダー子・ボクちゃん・リチャードという3人のチームの活躍ぶりは軽快でユーモアに溢れる。1話完結で、華麗にターゲットを騙していく様子が小気味よい。

Netflix「コンフィデンスマンJP」イメージ写真

出典:Netflix(コンフィデンスマンJP)

エンタメ性の強い作品だが、ふとした瞬間に妙にリアルで説得力のある言葉が混じる。

毎度のタイトルコールのせりふも印象的で、たとえば「目に見えるものが真実とは限らない。何が本当で何が嘘か。織田信長は本当に本能寺で死んだのか。ナポレオンの辞書に不可能の文字はなかったのか。チンギスハンはジンギスカンを食べたことがあるのか。コンフィデンスマンの世界へようこそ」といった具合だ。

だまし合いのストーリーの中で、人の欲や信頼、正義……そういったテーマが、ごく自然にせりふの中に浮かび上がってくるのが古沢良太脚本のすごいところだろう。

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気になる古沢良太作品を視聴してみて

社会派学園ドラマ、法廷コメディ、詐欺エンタメとジャンルはバラバラなのに、どれもキャラクターたちによって紡がれることばが強烈に印象に残る古沢良太作品。ぜひこの機会に、気になる作品をチェックしてみてはいかがだろう。

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