時代を越えて愛を紡ぐ 女優イ・セヨンの“ロマンスヒロイン”力

『赤い袖先』（2021年）は王の務めと一人の女性への愛の間で揺れる若き君主イ・サン（ジュノ）と、聡明で好奇心旺盛な宮女、ソン・ドギム（イ・セヨン）の身分違いの歴史ラブロマンスです。

権力が渦巻く宮廷で、互いの想いを胸に秘めながら波乱万丈な物語が展開していきます。イ・セヨンは聡明で自立的なヒロイン像を繊細に体現しており、張りつめた所作や抑制された感情表現が物語をより一層盛り上げています。華やかな衣装や宮廷の雰囲気といった視覚的な美しさも見どころとなっています。

そして、イ・セヨンと切ない恋物語をつむぐのは、本作が除隊後初の作品となったジュノ（2PM）。完璧な王位継承者として周囲にも同様の完璧さを求めながらも、愛に揺れる弱さがあり、心の深いところには孤独も抱えるようなキャラクターを演じました。

自分の誇りを守ろうとするドギム（イ・セヨン）と、カリスマ性と繊細さを併せ持つサン（ジュノ）の演技は圧巻で、MBC演技大賞では最優秀演技賞やベストカップル賞など8冠を獲得したほどです。

『ルール通りに愛して！』は、売れないWEB小説家になった元エリート検事の大家・ジョンホ（イ・スンギ）と、鋼メンタル×正義感強めな弁護士、ユリ（イ・セヨン）が織りなす“ロー（Law）マンス”ドラマ。

ユリは法律相談もできるカフェ「ローカフェ」を開くことをきっかけにジョンホと再会します。衝突しつつも、少しずつ心の距離が縮んでいく2人。幼なじみならではのテンポのいい掛け合いや、軽妙な会話も魅力となっています。

イ・セヨンは類まれな実行力を持つお節介焼きなヒロインをチャーミングに演じており、ヒロインがローカフェに舞い込む問題を解決していく姿は爽快です。

そして、心をくすぐるようなロマンスの相手役はイ・スンギ（イ・セヨンとは、本作で4年ぶりの共演！）。膝の出たジャージ姿からは分かりづらいものの、実は端正な顔立ちをしていたり、天才的な記憶力を持った元エリート検事だったり、ジョンホはギャップのある人物として描かれます。

ローカフェに舞い込む案件を通して描かれる人間模様が物語に温かみと深みを与え、笑いと感動のバランスが心地いい作品です。

『烈女パク氏契約結婚伝』は、朝鮮時代に両班の娘として育ち、意図せず烈女（夫の後を追って命を絶った女性のこと）となってしまったパク・ヨヌ（イ・セヨン）が2023年のソウルにタイムスリップするファンタジーロマンスです。

ヨヌは現代のソウルで亡き夫そっくりの御曹司・カン・テハ（ペ・イニョク）に出会うと契約結婚を提案され、価値観の異なる2人の凸凹ロマンスがスタートします。

古風な道徳観と芯の強さを持つヨヌ。イ・セヨンはそんなヨヌが現代に戸惑いながらも順応していく様子を可愛らしく表現し、コミカルさと凛々しさを併せ持つヒロインに命を吹き込みました。

ロマンスの相手役はペ・イニョク。義理や礼節を重んじる古風なヨヌとは正反対なキャラクターで、感情よりも合理性を重視するような現代的御曹司です。真逆の2人が“契約結婚”を通じて互いを理解し、惹かれ合っていく構図は王道ながら胸キュン要素満載。“契約から始まって本物の愛になる”その過程がたまらないのです。

朝鮮時代と現代のギャップ（と衝突）と胸をくすぐる恋模様が、笑いとときめきを交互に運び、心が温まるドラマです。

『モーテル・カリフォルニア』はかつての初恋が再び動き出す、切なくも温かな大人のラブストーリーです。田舎のモーテル育ちのガンヒ（イ・セヨン）は、10年前に置いてきた初恋を胸の奥にしまったままソウルで成功し、父の病を機に帰郷すると、獣医となって故郷に残ったヨンス（ナ・イヌ）と再会します。

イ・セヨンはヒロインであるガンヒの強がりな大人の顔と初恋の残り香に揺れる素直さを等身大に表現。長身のナ・イヌとの並びも映え、2人の間に流れる静かな温度差がじわりと効きます。

また地方の澄んだ空気や懐かしい風景が、再び芽生える想いを優しく包み込みます。心に温かな余韻が残り、日常の中の小さな奇跡を感じるようなストーリーです。

多彩な“恋”のかたちをイ・セヨンが鮮やかに演じ分けた4作品。王との身分違いのロマンス、ローカフェを舞台にした恋、時空を超えたギャップラブ、初恋の甘くほろ苦い再燃──どれもが胸が熱くなるようなものです。

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