2026年1月11日、12日の両日、静岡県掛川市の名跡「掛川城・二の丸茶室」で、将棋界の最高峰を争う第75期ALSOK杯王将戦七番勝負の第1局が開催されました。
防衛と「永世王将」の資格獲得を目指す藤井聡太王将(竜王・名人・王位・棋聖・棋王と合わせ六冠)に対し、悲願の王将位奪取を狙う挑戦者・永瀬拓矢九段が挑みました。現代将棋の粋を集めた極限の死闘となったこの一戦は、137手をもって先手番の永瀬拓矢九段が勝利を収めました。
両対局者が持ち時間各8時間をほぼ使い切る、精神力と体力の限界を試される大熱戦の模様は「U-NEXT」で1日目、2日目共に500円で視聴可能です。
また、1月24日(土)、1月25日(日)に行われる第2局も配信が決定しており、こちらもそれぞれ500円で視聴可能です。
藤井聡太王将が挑戦者を退けて「永世王将」への歩みを進めるのでしょうか? 挑戦者の中では格の違いを見せ続けてきた永瀬拓矢九段が勝利の美酒に酔いしれるのでしょうか? 今後も対局から目が離せません。
ALSOK杯第75期王将戦は藤井聡太王将が永瀬拓矢九段に敗れる波乱の幕開け
最終更新日:2026年01月15日
2026年王将戦 藤井聡太王将 vs 永瀬拓矢九段 見どころ
両者の実績と経歴
藤井聡太王将(23歳)は現在、王将位を含む主要タイトル六冠を保持しており、今期王将戦で5期連続の防衛を目指しています。藤井王将は2022年の第71期で初めて王将位を獲得して以降、第74期まで4期連続で王将位を保持してきました。王将戦七番勝負では無敗を続けており、これまで一度も王将位を明け渡したことがありません。
一方、永瀬拓矢九段(33歳)にとって王将戦挑戦は今回が3回目で、昨年度の第74期に続く2年連続の挑戦となります。永瀬九段は第75期王将戦挑戦者決定リーグを6戦全勝で制し、この七番勝負の挑戦権を獲得しました。前期の第74期七番勝負では藤井王将に1勝4敗で敗れており、雪辱を期して今シリーズに臨んでいます。
永瀬九段は過去に通算5期のタイトル獲得経験(叡王1期、王座4期)を持つ実力者ですが、現在は無冠で新たなタイトル奪取を狙っています。順位戦A級に在籍するなど棋界トップクラスの一人であり、藤井王将の強力な挑戦者として注目されています。
七番勝負の日程と開催地
今期第75期王将戦七番勝負は、2026年1月から3月にかけて全国各地で開催されます。
第1局は1月11・12日に静岡県掛川市の「掛川城二の丸茶室」で、第2局は1月24・25日に京都市伏見区の「伏見稲荷大社」で行われます。第3局は2月3・4日に東京都立川市の「オーベルジュときと」、第4局は2月17・18日に和歌山県和歌山市の「和歌山城ホール」で実施されます。第5局は3月8・9日に栃木県大田原市の「ホテル花月」、第6局は3月18・19日に名古屋市中村区の「名古屋将棋対局場」、そして第7局は3月25・26日に大阪府高槻市の「関西将棋会館」で開催される予定です。
七番勝負は持ち時間各8時間の2日制(封じ手あり)で行われ、いずれかが先に4勝した時点で決着します。第1局と第7局の先手・後手は振り駒によって決定されました。
第1局の結果
第1局は1月11・12日に掛川市の掛川城二の丸茶室で行われ、先手の永瀬九段が137手で後手の藤井王将に勝利しました。振り駒の結果、永瀬九段が先手、藤井王将が後手番となり、序盤は角換わり腰掛け銀の戦型で進行しました。1日目の夕方、69手目が封じ手となり、2日目はその封じ手開封から再開されました。持ち時間各8時間の長時間戦となり、両者とも残り時間0分まで使い切る大接戦の末、午後7時半過ぎに永瀬九段が勝利を収めました。
この結果、藤井王将にとっては自身のタイトル戦における開幕局連勝記録が15でストップし、タイトル戦初戦で初めて黒星スタートとなりました。一方、永瀬九段が七番勝負の初戦を制したのは今回が初めてであり、対局後に「七番勝負の初戦を勝てたのは初めてなので引き続き頑張りたい」とコメントしています。第1局は終盤まで逆転の可能性を残す白熱した展開となり、「最後まで食らいつき逆転する場面もある大熱戦」だったと報じられています。
両者の対戦成績
藤井聡太王将と永瀬拓矢九段の公式戦対戦成績は、藤井六冠の32勝、永瀬九段の12勝で、藤井六冠が大きくリードしています。永瀬九段は藤井六冠から二桁の白星を挙げている数少ない棋士であり、特に近年はタイトル戦での顔合わせが増えています。
直近の二日制タイトル戦では、両者は繰り返し激突してきました。2024年の王将戦七番勝負(第74期)では藤井王将が4勝1敗で防衛し、同じく2024年の名人戦七番勝負(第83期)では藤井名人が4勝1敗で防衛しました。さらに2025年の王位戦七番勝負(第66期)でも藤井王位が4勝2敗で防衛しています。
いずれのシリーズも藤井六冠が勝ち越しましたが、永瀬九段はストレート負け(4連敗の零封)を喫しておらず、毎回1勝以上を挙げて粘りを見せています。ただし、これまでの3シリーズはすべて開幕から藤井六冠が3連勝しており、永瀬九段は序盤で大きくリードを許す展開が続いていました。今回の第75期第1局で永瀬九段が先勝したことは、この流れを変える大きな一勝と言えます。シリーズ序盤で白星を先行させたのは初めてのことであり、今後の展開に注目が集まっています。
今期(2025年度)の成績を見ると、両者ともに高勝率を維持しています。藤井六冠は公式戦で38勝10敗、勝率約.790を記録し、永瀬九段も36勝15敗、勝率.706と安定した成績を収めています。対局数も多く、永瀬九段はこの年度公式戦51局と精力的に戦っています。藤井六冠は年度内に複数のタイトルを防衛・獲得しており、永瀬九段も各棋戦で上位進出を続けるなど、両者とも充実した戦績を背景に王将戦に臨んでいます。
藤井六冠は現在、名人・竜王・王位・王将・棋聖・棋王の六冠を保持しています。日本将棋史上初となる全八冠独占(八冠王)も2023年に達成しましたが、その後2024年に叡王位、2025年に王座位を失冠したものの、依然として主要タイトルの過半数を保持する圧倒的な地位にあります。一方の永瀬九段は現時点でタイトルこそ失っていますが、挑戦者決定戦やトーナメントで勝ち上がりを続けており、藤井六冠、伊藤匠八段(叡王・王座)に次ぐ「3番手」の実力者との評価もあります。
2026年王将戦の注目ポイント
藤井王将の連覇記録への挑戦
藤井六冠は現在王将戦4連覇中であり、今シリーズで5連覇を達成できるかが大きな注目点です。王将戦の永世称号「永世王将」は通算10期保持が条件で、藤井六冠はまだ道半ばですが、このまま防衛を重ねられるか注目されています。また、藤井六冠は二日制の七番勝負においていまだシリーズ無敗という驚異的な記録(過去18局の七番勝負で負けなし)を維持しており、この記録が今期も続くかが焦点です。
永瀬九段のタイトル奪取なるか
永瀬九段は藤井六冠にタイトル戦で幾度も挑む「宿敵」の一人であり、藤井六冠からタイトルを奪取した初の棋士になれるかどうかが見どころです。これまで藤井六冠が失冠したタイトルはいずれも伊藤匠八段に奪われたもので(2024年叡王、2025年王座)、永瀬九段自身は藤井六冠からタイトルを直接奪った経験はありません。今回、初めて藤井王将を七番勝負で打ち破れば、自身初の王将位獲得とともに藤井時代に一石を投じる大偉業となります。
シリーズ序盤の展開
前述の通り、永瀬九段は第1局で先勝し好スタートを切りました。藤井六冠がタイトル戦で初戦黒星スタートとなるのは初めてのケースであり、序盤から挑戦者がリードするシリーズ展開に多くの将棋ファンの関心が集まっています。藤井六冠が第2局以降で巻き返すのか、永瀬九段が勢いに乗ってリードを広げるのか、第2局(1月24・25日、伏見稲荷大社)以降の戦いぶりが注目されます。
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両者の棋風と持ち味
藤井六冠は終盤力と勝負強さに定評があり、これまで数々の逆転劇や終盤の妙手で観衆を沸かせてきました。一方、永瀬九段は粘り強い守備と研究量の多さで知られ、「軍曹」「不屈の闘志」などの異名を持つ棋士です。持久戦を得意とし簡単に投了しない姿勢から、ファンにそう呼ばれています。
長時間戦が予想される王将戦七番勝負では、藤井六冠の終盤力と永瀬九段の粘りという構図も見どころと言えるでしょう。実際、第1局でも両者一歩も引かない熱戦となり、大熱戦の末に決着しました。今後の対局でも緻密な研究に裏打ちされた序盤戦から、終盤の攻防までハイレベルな戦いが期待されています。
今後のタイトル戦の行方を占う重要な勝負
藤井六冠は史上最年少でのタイトル独占や多数冠保持記録を更新し続けており、その記録更新の行方もシリーズを通じて話題です。仮に藤井六冠が王将位防衛に成功すると、タイトル連続防衛記録をさらに伸ばすとともに、自身のタイトル保持数をまた一つ積み重ねることになります。
一方、永瀬九段がタイトル奪取となれば自身5期ぶりのタイトル復帰となり、藤井六冠の連勝記録を止める快挙となります。さらに、藤井六冠はこの王将戦の後にも名人戦や棋聖戦など防衛戦が控えており、「八冠復帰」への期待もファンの間で語られています。そうした将棋界全体の流れの中で、本シリーズの結果は今後のタイトル戦線にも大きく影響する重要な一戦と位置付けられています。
まとめ
2026年王将戦七番勝負は序盤から波乱含みの展開で幕を開けました。藤井聡太王将の盤石の防衛か、永瀬拓矢九段の悲願の初戴冠か、今後の対局一局一局から目が離せません。それぞれの対局は将棋ファンのみならず一般のメディアからも注目を集めており、歴史に残るシリーズとなる可能性も秘めています。第2局以降も熱戦が期待される本シリーズの行方にご注目ください。